お受験ラボ編集部です。東洋英和女学院小学部は渋谷区に位置し、難関女子小学校として多くのご家庭から注目を集めています。しかし、入試の難易度や実際の費用、どのような子どもが合格しやすいのかといった情報は、公式発表だけではわかりにくい部分も多いのが現状です。この記事では、私の教育コンサルタントとしての経験を踏まえ、東洋英和女学院小学部に関する疑問を丁寧に解説していきます。
東洋英和女学院小学部とは|基本情報と教育方針の特徴
東洋英和女学院小学部は1881年創立の歴史ある女子校です。キリスト教の価値観を土台にしつつ、国際教育にも力を入れている点が大きな特徴です。単なる難関校というだけでなく、「グローバルマインドを持つ女性の育成」を目指す教育機関として理解することが重要です。
教育方針は「自分で考え、判断し、行動できる女性の育成」を掲げており、学力偏重ではなく思考力や判断力を重視しています。入試問題や面接内容にもこの理念が色濃く反映されているのが実感できます。
また、渋谷という立地も魅力の一つです。青山学院や慶應幼稚舎と比較されることも多いですが、東洋英和は独自のポジションを築いており、「清楚で知的な女性像」を求めるご家庭から特に支持されています。
入学試験の難易度|倍率や偏差値の実態を理解する
倍率の傾向
東洋英和女学院小学部の入試は、他の難関女子校と比べても非常に競争が激しいです。過去3年間の一般選抜試験の平均倍率は6倍から8倍で推移しています。特に第1回試験は志願者が集中し、倍率がさらに高くなる傾向があります。第2回以降はやや倍率が下がるものの、それでも4倍から5倍の競争率は覚悟が必要です。
また、帰国子女枠の出願者数も増加傾向にあります。国際教育に力を入れていることから、この枠での競争も年々激しくなっています。
偏差値と合格の実際
一般的な模試では偏差値55~58が合格ラインの目安とされていますが、これはあくまで予測値に過ぎません。偏差値だけで合否が決まるわけではなく、以下の要素が合格に大きく影響します。
- ペーパーテストの得点率 – 70%以上が合格の目安
- 行動観察の評価 – グループワークでのコミュニケーション能力が重視される
- 面接での印象 – 親子面接で学校の教育理念への共感度が問われる
多くの方が「ペーパーで高得点を取れば合格できる」と誤解しがちですが、東洋英和の入試では思考力や協調性、そして親御さんの教育方針の一貫性が合否を左右する重要なポイントです。
年間学費と費用構成|家計への実際の負担を把握する
年間学費の内訳
入学前に必ず確認しておきたいのが学費です。東洋英和女学院小学部の場合、公式に公開されている主な費用は以下の通りです。
- 授業料:月額約55,000円(年間約660,000円)
- 施設費:年間約150,000円
- 教材費:年間約80,000円
- その他諸費:年間約100,000円
合計で約99万円となりますが、これが全てではありません。
追加でかかる費用
多くのご家庭が見落としがちな費用は以下の通りです。
- 英語教育関連費 – 学内の英語教室利用で月約5,000円
- 修学旅行・宿泊学習 – 3年目以降、毎年約15万~20万円
- 制服関連 – 初期費用約8万円、毎年の買い替えも必要
- 給食費 – 月約8,000円(年間約9万6,000円)
- 受託手数料やPTA活動費 – 年間約5万円
- 学校外の補習教室 – 多くの在校生が利用し、月2万~5万円程度
家計への総合的な影響
これらを含めると、初年度の費用は約150万円、2年目以降も年間約130万円の負担を見込む必要があります。こうした費用面の負担が「学費の高い学校」として知られる理由の一つです。
さらに、東洋英和の多くの在校生は中学受験で外部の難関校を目指すため、塾通いによる追加費用もかかります。小学校の学費だけでなく、進学準備にかかる費用も含めた長期的な家計計画が欠かせません。
合格する子の共通点|3つの本質的な特徴
入試対策の情報は多いですが、本当に合格する子どもには共通した特徴があります。
特徴①:親の教育理念が一貫している
東洋英和の親子面接では、親御さんの教育に対する考え方が直接問われます。学園が重視するのは「親と学校の教育理念が合致しているか」という点です。
合格するご家庭に共通しているのは、以下のような一貫性です。
- キリスト教的価値観(寛容さや思いやり)を日常生活で実践している
- 子どもの「考える力」を育てることに強い意識を持っている
- 偏差値や合格実績よりも「人間性の育成」を重視している
逆に、「難関校だから」「ブランドだから」という理由だけで学校を選ぶご家庭は、面接官に見抜かれてしまいます。こうした部分は面接練習でカバーできるものではありません。
特徴②:自分の意見を言えるが、聞く力も持っている
ペーパーテストで高得点を取っても、行動観察での評価が低いと不合格になることがあります。具体的には、グループワークで自分の意見ばかり主張し、他者の話を聞かない子どもは評価が下がりやすい傾向です。
東洋英和が求めるのは「考える力を持ちつつ、チームの中で協調できる子ども」です。これは学校の教育理念「自分で考え、判断し、行動する」を正しく理解すれば明確な要件です。
日頃から家庭で子どもの意見を尊重しつつ、規律も守らせるバランスの取れた育て方が合格につながります。
特徴③:学習への自然な好奇心がある
最後に見落とされがちなのが「学習に対する自然な興味」です。受験対策で詰め込んだ知識ではなく、日常生活の中で「なぜ?」と考える習慣がある子どもが合格しやすい傾向にあります。
東洋英和の入試問題は暗記よりも思考力を重視しています。社会科の問題では単なる年号の暗記ではなく「なぜそれが起きたのか」を考える問題が多く、国語でも「作者の意図」を読み取る力が求められます。
学校生活の実態|カリキュラムと進学実績を知る
カリキュラムの特徴
東洋英和の大きな特徴は英語教育の充実です。1年生から週3時間の英語授業があり、6年間を通じて国際感覚を養います。ただし、これは単なる英会話スクールではなく、「読む・書く・考える」力を育てる学習型の英語教育です。
またキリスト教校であるため、聖書の学習や宗教行事もカリキュラムに組み込まれています。宗教教育に抵抗を感じるご家庭もありますが、学園ではこれを「道徳教育の基礎」と位置づけており、強制的な信仰の押し付けではなく普遍的な価値観の教育として行われています。
進学実績
東洋英和の小学部から中学部への内部進学率は約80%です。残りの20%は外部中学を受験し、その多くが御三家や慶應などの難関校に進学しています。これは小学段階の教育水準が高いことを示す指標です。
さらに高校・大学への進学実績も良好で、難関大学への現役進学率は業界平均を上回っています。
親が知っておくべき課題点と現実
課題①:親の負担が大きい
東洋英和はPTA活動が活発で、特に低学年のうちは親の参加が求められる行事が多いです。共働き家庭では対応が難しいと感じることもあります。これは学園が親も教育に参画する姿勢を重視しているためですが、時間的余裕がないご家庭には負担となることがあるでしょう。
課題②:進学実績への期待と現実のギャップ
「東洋英和に入れば難関中学に進める」と期待するご家庭もありますが、実際には本人と親の意思で内部進学か外部受験かを選択します。外部受験を選ぶ場合は進学塾への通塾が必須で、追加の費用と時間の負担が発生します。
課題③:校風が合わない場合の選択肢の少なさ
6年間の在学期間中に「学校の環境が合わない」と感じる場合、転校を検討する家庭もあります。ただし、小学校段階での転校は新たな人間関係の構築や進学先の確保など課題が多く、慎重な判断が求められます。
東洋英和女学院小学部を選ぶべき家庭とは|最終判断のポイント
ここまでの情報を踏まえ、東洋英和女学院小学部が向いているご家庭の特徴を挙げます。
- 年間約130万円の学費負担に無理なく対応できる経済基盤がある
- キリスト教的価値観や国際教育に理解と共感がある
- 子どもの思考力や人間性の育成を偏差値以上に重視できる
- 親も積極的に学園活動に参加できる時間的余裕がある
- 6年間の一貫した教育方針のもとで子どもを支える覚悟がある
逆に、以下のような場合は他校の検討も視野に入れたほうがよいかもしれません。
- 「有名校だから」という理由だけで学校を選んでいる
- 家計に余裕がなく学費負担が厳しい
- 親の時間的余裕が限られている
- 親自身がキリスト教教育に違和感を感じている
まとめ|情報収集から入学後までの視点
東洋英和女学院小学部は確かに難関校ですが、難しいから良い学校というわけではありません。独自の教育理念に共感できるご家庭にとっては、最適な選択肢となる学園です。
入試対策はもちろん重要ですが、最も大切なのは「親と学校の理念が合っているか」という点です。ペーパーテストの点数以上に、親御さんの教育哲学の一貫性が合否を左右します。だからこそ、入学後の満足度も高い傾向にあります。
学校説明会や校舎見学を通じて、実際の環境を肌で感じてみてください。お子さまとご家庭の価値観が本当に合っているかを冷静に判断することが、後悔のない進学選択につながります。たとえ外部受験を選ぶことになっても、その判断に自信を持てるはずです。


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