お受験ラボ編集部です。小学校受験の会場でよく見かけるのが、医師や歯科医師のご家庭です。特に開業医の方にとっては、子どもの教育は単なる学歴取得にとどまらず、将来のクリニックの事業承継という重要な課題とも深く結びついています。
しかし、慣れ親しんだブランド校や系列大学の附属校を志望校に選ぶだけでは、12年後の医学部進学で思わぬ壁にぶつかることも少なくありません。医師家庭ならではの視点を踏まえ、失敗しない志望校選びのルートや面接での伝え方について、具体的にお伝えします。
1. 最大の誤解:「大学附属校」=「医学部への確実な近道」ではない理由
例えば、慶應幼稚舎に入れば慶應医学部に進学できる、というイメージは半分正しく、半分誤解です。実際には慶應義塾高校から医学部への内部進学枠はごく限られた上位数%の生徒だけに与えられます。非常に厳しい競争を勝ち抜かなければならず、もし内部進学が叶わなければ他大学の医学部を受験する際に慶應大学への推薦権を放棄しなければなりません。
また、青山学院や学習院、立教などの系列大学も内部進学は比較的容易ですが、医学部進学に必要な理数系のカリキュラムが十分でない場合があります。医学部進学を目指すなら、カリキュラムの内容や進学実績をしっかり確認することが不可欠です。
2. 医師家庭におすすめしたい「3つの志望校選びルート」
ルートA:医学部推薦枠を持つ「係属校・提携校」を選ぶ
近年注目されているのは、系列大学はないものの医学部への指定校推薦を多数持つ私立小学校や、大学に医学部があるものの外部受験も推奨している学校です。こうした学校は医学部進学に向けた手厚いサポート体制を整えています。
- 東邦大学付属東邦(千葉):医学部進学に定評があります。
- 暁星小学校(東京):カトリックの名門男子校で、医師家庭の子どもが多く医学部進学率が高いのが特徴です。
- 洗足学園・宝仙学園:難関中学受験から医学部進学ルートを強力にバックアップしています。
ルートB:小学校は環境重視、中学受験でリベンジする「進学校化」ルート
小学校は子どもの環境を重視し、宿題が少なく塾に通いやすい学校(国立小や比較的のんびりした私立)を選びます。中学受験で開成・桜蔭・鉄緑会などの進学校を目指すパターンです。中学受験で医学部進学に強い学校へ進むことで、医学部合格の可能性を高める方法です。
ルートC:最強の覚悟で挑む「慶應」一本狙いルート
「慶應医学部以外は認めない」という強い覚悟があるなら、幼稚舎や横浜初等部を目指す選択肢があります。ただし、内部進学できなかった場合は留年や退学のリスクも伴い、子どもにとっては厳しい青春時代となる可能性があることを理解しておく必要があります。
3. 面接での「医師家庭アピール」はどう伝えるべきか?
「父親が医師であること」は経済的な安定性を示すプラス材料になりますが、伝え方を誤ると逆効果になることもあります。
× NG例:「うちは代々医者なので、絶対に医者にさせます」学校側は「職業選択の自由を奪う親」や「成績が悪ければ学校のせいにする親」と警戒します。
◎ 好ましい例:「父の背中を見て自然に『人の命を救いたい』という志を持ってくれれば嬉しいですが、最終的には本人の適性を尊重します」
このように余裕を持った姿勢で伝えることが、かえって合格を引き寄せることが多いのです。


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