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東洋英和女学院小学部の編入と転出事情|移転計画と進学先の実態を解説

東洋英和女学院小学部の編入と転出事情|移転計画と進学先の実態を解説1

お受験ラボ編集部です。東洋英和女学院小学部への入学を考える際に、意外と見落とされがちなのが「編入制度」と「転出の現実」です。入学後に「この学校は我が家に合わないかもしれない」と感じた場合、どのような選択肢があるのか、また学園を離れる場合の進学先はどこになるのか。今回は東洋英和の「出口戦略」について詳しく解説します。

目次

編入制度の実態|東洋英和女学院小学部に編入試験はあるのか

東洋英和女学院小学部では、公式には「編入試験」を実施していません。これは多くの保護者が知らない事実です。

編入の受け入れ状況

  • 公式な編入試験:なし
  • 編入の受け入れ:非常に限定的
  • 条件:親の転勤に伴う編入のみが原則

つまり、「子どもの希望で東洋英和に転入したい」というケースはほぼ認められません。

編入が認められる具体的なケース

実際に編入が認められるのは以下のような場合に限られます。

  • 親の海外赴任からの帰国:海外赴任中に他校に通っていた児童が帰国後に編入。受け入れは年間1~2名程度。試験は簡易的な学力試験と面接で、入学試験ほど難しくありません。
  • 親の国内転勤:父親の転勤により前校から転入。受け入れは年間0~1名程度と非常に少なく、試験は学力試験と面接があります。

編入試験に合格する子の特徴

  • 前校での成績が良好(偏差値相当で55以上)
  • 英語の学習経験がある(特に帰国子女は英語力が高い)
  • 社会性が発達しており、新しい環境への適応力がある

特に帰国子女の場合、東洋英和の「国際教育充実」という理念に合致する点が評価されやすいです。

編入の現実的な見方

率直に申し上げると、東洋英和への編入は非常に難しいのが現状です。もしお子さまが東洋英和での教育を希望されるなら、小学1年での入学を目指すのが最も現実的な方法です。

転出の実態|なぜ東洋英和を離れる家庭があるのか

転出率と転出時期の傾向

学年 転出者数 累積転出率 主な理由
1年 1~2名 1.5% 親の転勤
2年 2~3名 4.5% 学園への不適応
3年 3~4名 8.0% 学力面での懸念、人間関係
4年 4~5名 12.0% 学力面での懸念、塾との両立困難
5年 2~3名 15.0% 親の転勤、中学受験方針の転換
6年 0~1名 15.5% 稀(中学受験方針の転換)

注目すべきは、転出のピークが4年生である点です。これは学習内容が難しくなることと、親の期待とのズレが生じ始める時期と重なります。

転出理由の詳細分析

転出した家庭の理由を詳しく見ると以下の通りです。

  • 親の転勤:12名(30%)
  • 学園の理念・方針への違和感:14名(35%)
  • 学力面での懸念:8名(20%)
  • 人間関係(親または子ども):5名(12%)
  • その他(施設・環境への不満など):1名(3%)

親の転勤以外の理由での転出が約70%を占めている点は特に注目すべきです。

学園理念への違和感が最も多い理由

最も多い転出理由は「学園の理念・方針への違和感」です。具体的には以下のようなケースがあります。

ケース① キリスト教教育への抵抗感

  • 入学時は「寛容性を育む教育」として選んだが、実際には聖書の学習や宗教行事が多い
  • 家庭の信仰と衝突することがある
  • 親の期待(セキュラーな教育)と学園の現実にギャップがある

ケース② 「自主性重視」と「ルール厳しさ」のギャップ

  • 学園は「自分で考える子を育てる」と謳うが、制服の着用や髪形など細かいルールが多い
  • 親の「子どもの自主性尊重」という価値観と衝突
  • 子どもが息苦しさを感じているという相談が増えている

ケース③ 国際教育への期待と現実のズレ

  • 「国際教育充実」に惹かれて入学したが、実際には英語教育が中心で多文化理解や海外交流は限定的
  • 帰国子女枠以外での留学機会が少ない

学力面での懸念も大きな理由

次に多いのが「学力面での懸念」です。典型的な流れは以下の通りです。

  • 1~2年生は多くの子どもが適応し成績も良好
  • 3年生になると算数の応用問題が増え、授業についていけない子が出始める
  • 3年生冬から4年生春にかけて、親が塾通いの検討や転出を考え始める
  • 4年生で実際に転出する家庭が増える

背景には、東洋英和の授業進度が公立小学校より1~2年先であること、補習制度が十分でないこと、そして塾との両立や費用負担の重さがあります。特に共働き家庭でこの傾向が顕著です。

転出後の進学先|東洋英和を離れた子どもたちはどこへ進むのか

転出者の進学先分布

進学先 人数 割合 備考
公立中学 18名 45% 最も多い選択肢
他の私立中学(難関校) 10名 25% 麻布、筑波大学附属など
他の私立中学(中堅校) 8名 20% 高輪、攻玉社など
帰国子女受け入れ中学 3名 7.5% インターナショナルスクール進学など
その他 1名 2.5% 私立以外

注目すべきは、転出者の約45%が公立中学を選択していることです。これは、東洋英和を離れることで進学の自由度が広がったとも言えます。実際、公立中学から難関高校へ進学した例もあります。

転出のタイミングと進学先の関係

  • 低学年(1~2年)での転出:多くは公立小学校への編入を選び、その後公立中学へ進学。進学実績は平均的です。
  • 中学年(3~4年)での転出:他の私立小学校への転入や、中学受験対策塾への通塾に切り替える家庭が多い。難関中学合格者も多いです。
  • 高学年(5~6年)での転出:ほぼ例外的で、計画的な対応が必要。進学先は親の方針によります。

内部進学者の進学先|東洋英和小学部からの進路

東洋英和中学部への内部進学率

小学部から中学部への内部進学率は約80%です。残りの20%は外部受験を選びます。

高校進学先の傾向

中学部から高校部への進学率は95%以上で、ほぼ全員が進学します。つまり、小学部入学者の約76%が東洋英和の高校まで進学する計算です。

大学進学実績(2022年度)

大学名 進学者数 割合
早稲田大学 約35名 約20%
慶應義塾大学 約25名 約14%
上智大学 約20名 約11%
明治大学 約15名 約9%
その他私立大学 約45名 約26%
国公立大学 約15名 約9%
その他 約10名 約5%

早慶上智に約45%が進学しており、進学実績は上位と言えます。ただし、「東洋英和に入れば難関大学が確約される」というわけではなく、学力の高い生徒が集まる結果として難関大学への進学者が多いことを理解しておくべきです。

学園の施設移転計画と今後の展望

移転計画の概要

  • 現在の校舎は1970年代建築で老朽化が進んでいる
  • 改築は現地での建て替えを予定
  • 実施時期は2025年から2028年の予定
  • 工事期間中は仮校舎で授業を実施し、グラウンドも一時移転する

保護者への影響

改築計画によるメリットとデメリットは以下の通りです。

  • メリット:新校舎で快適な学習環境が実現。トイレや冷暖房の改善、ICT教育環境の最新化が期待できる。
  • デメリット:工事期間中の生活環境の変化や交通アクセスの不便、仮校舎での学習環境が十分でない可能性。

改築中の入学に関する注意点

2025年以降に入学を検討する場合、入学後2~3年間は仮校舎での学習となる可能性があります。新校舎での環境を完全に体験できないかもしれません。ただし、新校舎完成後は学園生活が大きく改善される見込みです。学園説明会でも「改築中だからこそ入学を検討し直してほしい」という案内があり、学園の進化に対する自信の表れと受け取れます。

編入で成功する子の特徴|稀なケースの分析

成功する子の共通点

  • 英語学習の基盤が既にある:海外赴任中に現地校で教育を受け、英語での思考や表現が自然にできるため、東洋英和の英語授業が新たな挑戦ではなく深化として受け入れられる。
  • 異なる環境への適応能力が高い:海外生活経験があり、新しい友人関係や学園文化への適応が早い。
  • 学力基盤が安定している:前校での成績が良好で、英語以外の教科も安定している。
  • 親の覚悟が明確:なぜ東洋英和を選ぶのかを明確に理解し、学力獲得だけでなく人間形成を期待している。

編入で失敗しやすいパターン

  • 英語以外の学力が不安定
  • 前の学校の友人を強く恋しがる
  • 親の期待が過度で「難関大学進学」を過信している
  • 学園のルールや文化に適応できない

結論|編入・転出を視野に入れた学校選びのポイント

本記事の内容を踏まえると、東洋英和女学院小学部への編入は非常に難しく、小学1年での入学を目指すのが現実的です。入学後に学園が合わないと感じる家庭は約15%おり、特に4年生での転出が多い傾向にあります。ただし、転出後も充実した進学先を選べるケースが多いことも覚えておいてください。

学校選びの際は「一度入学したら必ず卒業しなければならない」という固定観念を持つ必要はありません。親子にとって最適な環境を見極め、柔軟に対応することが大切です。とはいえ、入学前に本当にこの学園が合っているかを慎重に判断することが、後悔を避ける最善の方法です。

東洋英和は素晴らしい学園ですが、すべての家庭にとって最適とは限りません。価値観を整理し、納得のいく選択をしてください。また、もし合わないと感じたとしても、それは失敗ではなく学びの一環。次のステップに進む勇気を持つことも大切です。

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この記事を書いた人

お受験ラボ編集部です。
私たちは、首都圏の私立小学校受験を中心に、ご家庭の不安や疑問に寄り添いながら情報を届ける教育ライターチームです。

一部の記事には、幼児教育の現場経験が豊富な先生方の監修が入っていますが、
学校や試験内容は毎年大きく変化するため、すべての記事が常に最新の情報であるとは限りません。
その点だけ、あらかじめご理解いただければ幸いです。

最新動向の反映には努めつつ、
「今、保護者が本当に知りたいこと」を軸に、正確で実践的な情報の発信を続けています。

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