マザリーズ(ペアレンティーズ)は、大人が赤ちゃんに話しかけるときの、高めの声・大きな抑揚・ゆっくりしたテンポの話し方です。赤ちゃんの注意を引きつけ、言葉を聞き取りやすくする働きがあり、1対1でこの話し方を多く聞いた赤ちゃんは、その後の語彙が多い傾向があることが研究で報告されています。
赤ちゃんに話しかけるとき、自然と声が高くなり、抑揚が大きくなっていませんか。これは多くの言語や文化で共通して見られる話し方で、専門的には「対乳児発話」と呼ばれます。
この記事では、マザリーズの特徴、研究でわかっていること、いわゆる「赤ちゃん言葉」との違い、月齢別の話しかけ方のコツを紹介します。
マザリーズとは
マザリーズ(motherese)は、大人が乳幼児に向けて使う特有の話し方です。母親だけでなく、父親や祖父母など周りの大人も自然に使うため、最近は「ペアレンティーズ(parentese)」とも呼ばれます。
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 声が高め | 普段の会話より高い声で話す |
| 抑揚が大きい | 声の上がり下がりがはっきりしている |
| ゆっくり話す | テンポが遅く、言葉と言葉の間をとる |
| 母音をのばす | 「すご〜い」「おいし〜いね」のように母音を長めに発音する |
| 短く、くり返す | 短い文で、同じ言葉を何度もくり返す |
研究でわかっていること
赤ちゃんは、大人どうしの話し方より、マザリーズのような話し方を好んで聞くことが、多くの研究で確かめられています。言葉の区切りや大事な単語が聞き取りやすくなるため、言葉を覚える手がかりになると考えられています。
米国ワシントン大学の研究では、1歳前後の赤ちゃん26人の家庭の会話を録音して調べたところ、1対1の場面でこの話し方を多く聞いていた子どもは、2歳の時点で話せる言葉の数が多かったと報告されています(多く聞いていたグループで約433語、少なかったグループで約169語)。
同じ大学の2020年の発表では、生後6か月・10か月・14か月の時期に、保護者がこの話し方や「やりとり」の大切さについて助言を受けた48家庭の子どもは、18か月の時点の語彙が平均約100語で、助言を受けなかったグループ(約60語)より多かったとされています。
研究で注目されているのは、テレビや大人どうしの会話を聞かせることではなく、赤ちゃんと1対1で向き合い、声や表情でやりとりすることです。話しかける量よりも、赤ちゃんの反応を待って応える「会話のキャッチボール」が大切だと考えられています。
いずれも米国の英語を話す家庭を対象にした、比較的少人数の研究です(出典:ワシントン大学の2014年・2020年の研究発表)。マザリーズだけで語彙が決まるわけではなく、「赤ちゃんと向き合ってやりとりする時間が大事」という方向性を示すものとして受け止めるのがよいでしょう。
マザリーズと「赤ちゃん言葉」の違い
マザリーズは話し方(声の高さやリズム)のことで、言葉そのものを崩すことではありません。
| マザリーズ | 崩した赤ちゃん言葉 | |
|---|---|---|
| どんなもの | 正しい言葉を、高めの声・ゆっくりした話し方で伝える | 発音や文法を大人がわざと崩す |
| 例 | 「くるまが きたね〜」 | 「ぶーぶー、きまちたね〜」 |
| ねらい | 言葉を聞き取りやすくする | (特にない) |
「わんわん」「まんま」のような育児語は、言いやすく覚えやすいため、言葉の出始めの時期には役立ちます。ただ、「〜でちゅね」のように大人がわざと発音を崩すことは避け、正しい言葉をマザリーズの口調で話しかけるようにしましょう。
月齢別の話しかけ方のコツ
| 時期 | ねらい | 話しかけ方の例 |
|---|---|---|
| 0〜3か月 | 安心感を伝える | 「よしよし」「だいじょうぶだよ〜」と、ゆったりした抑揚で |
| 4〜11か月 | 音を聞き分ける・やりとりを楽しむ | 口の動きを見せながらはっきり話す。赤ちゃんの声をまねして返す |
| 1〜2歳 | 言葉と物を結びつける | 指さしたものを「パトカーだね」と言葉にする。子どもの言葉を少し広げて返す(「わんわん」→「わんわん、走ってるね」) |
| 2〜3歳 | 会話を広げる | 声の高さは自然に戻しながら、ゆっくり・はっきり話す。「どうしてかな?」と問いかける |
毎日の話しかけで意識したいこと
- 赤ちゃんの顔を見て、目を合わせて話す
- 話しかけたら、赤ちゃんが声や表情で応えるのを待つ
- 赤ちゃんの声や動きを、言葉にして返す(「楽しいね」「眠くなったね」)
- おむつ替えや授乳、お風呂など、毎日のお世話の時間を話しかけの時間にする
- 絵本を読むときも、指さしや問いかけで「やりとり」をする
特別な時間を用意しなくても、毎日のお世話の中で話しかけることで十分です。
幼児期の言葉かけと小学校受験
赤ちゃんのころからの言葉のやりとりは、幼児期の語彙や会話の力の土台になります。小学校受験では、お話の記憶や言語の問題、面接での受け答えなど、言葉の力が問われる場面が多くあります。3歳以降は、読み聞かせや毎日の会話で「どう思った?」「どうしてかな?」と問いかけ、子どもが自分の言葉で話す機会を増やしていきます。年少からの家庭での取り組みは年少の勉強は何から?無料プリント・市販教材・タブレットの始め方、面接で自然な会話を引き出すコツは小学校受験の面接で子どもが自然に話せるコツ|暗記に頼らない会話の練習法で紹介しています。
よくある質問
Q. 恥ずかしくて高い声が出せません。
無理に裏声を出す必要はありません。普段より少し明るい声で、口角を上げてゆっくり話すだけでも十分です。表情や抑揚も意識できるとよいでしょう。
Q. いつまで続ければいいですか?
決まりはありませんが、子どもが言葉を話すようになるにつれて、自然に大人の話し方に近づいていきます。ゆっくり・はっきり話すことと、子どもの話を待って応えることは、その後も大切にしましょう。
Q. 父親の低い声でも効果はありますか?
あります。声の高さより、抑揚をつけてゆっくり話すこと、赤ちゃんと向き合ってやりとりすることが大切です。


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