小学校受験の面接で最も避けたいのは、子どもがセリフを丸暗記したロボットのようになってしまうことです。
例えば、先生が「今日はどうやって来ましたか?」と尋ねたとき、子どもが「(天井を見ながら早口で)デンシャトバスデキマシタ!30プンかかりました!」と答える場面を想像してください。
親御さんは「言えた!」と安心するかもしれませんが、面接官は「普段の会話ではないな。特訓されたな」とすぐに見抜きます。学校が本当に知りたいのは、暗記力ではなくその子らしい言葉での自然なコミュニケーション、つまり対話力です。
この記事では、子どもがロボット化せず、自然な愛らしさと知性を引き出すための面接トレーニングのコツをお伝えします。
1. 面接でよくある質問と合格につながる答え方のコツ
小学校受験の面接には定番の質問がいくつかありますが、正解は一つではありません。ここでは、よくある質問に対する「残念な回答」と「合格につながる回答」の違いを見ていきましょう。
Q1. 「お名前を教えてください」
- △ ロボット回答:「〇〇タロウです!」(大声すぎたり無表情だったりすると印象が悪くなります)
- ◎ 合格回答:「(先生の目を見てニッコリ笑いながら)はい、〇〇タロウです」
👉 ポイント:名前の前に「はい」を入れるだけで、印象がぐっと柔らかくなります。
Q2. 「朝ごはんは何を食べてきましたか?」
- × NG回答:「パン。」(単語だけで終わると味気なく感じられます)
- △ マニュアル回答:「パンと、目玉焼きと、スープと、サラダを食べました」(嘘でも豪華に言おうとすると不自然です)
- ◎ 合格回答:「ハムが入ったサンドイッチを食べました。おいしかったです」
👉 ポイント:メニューを羅列する必要はありません。感想(おいしかった)を添えることで、子どもらしさが伝わります。
Q3. 「お母さんのどんなところが好きですか?」
- △ マニュアル回答:「お料理がおいしいところと、優しいところです」(ありきたりな答えは印象に残りにくいです)
- ◎ 合格回答:「絵本を読む時、面白い声を出してくれるところです」
👉 ポイント:具体的なエピソードがあると、その家庭の温かい雰囲気が伝わりやすくなります。
2. 答えに詰まった時に使える「魔法の言葉」3選
面接で想定外の質問が来て、子どもが頭が真っ白になるのはよくあることです。その時に黙り込んだり親の方を見たりすると、減点の対象になりかねません。そんなピンチを救うための「魔法の言葉」を教えてあげましょう。
① 「えーっと…」はむしろ好印象
すぐに答えが出なくても、考えている姿勢を見せることは大切です。「えーっとね…」と言いながら一生懸命言葉を探す様子は、「自分の頭で考えている」という証拠として好感を持たれます。
② 「わかりません」と正直に言う勇気
どうしても答えられない質問(例:「昨日のニュースを知っていますか?」など)があった場合、嘘をついたり黙ったりするよりも、「わかりません。帰ったらパパに聞きます」と言えることが理想です。正直さと知的好奇心をアピールできます。
③ 「もう一度お願いします」と丁寧に聞き返す
質問が聞き取れなかった時は、「え?」と聞き返すのではなく、「もういちどおねがいします」と丁寧に言う練習をしておきましょう。
3. 日常会話こそが面接力を育てる最高の練習場
面接の練習だからといって、「さあ、座って練習するよ!」と構えすぎると、子どもは緊張してロボットのようになってしまいます。むしろお風呂の中や食事中の何気ない会話が最高の練習場です。
- 親:「今日、幼稚園で一番楽しかったことは何?」
- 子:「ブロック」
- 親:「ブロックで何を作ったの?」
- 子:「お城」
- 親:「へえ!誰と一緒に作ったの?」
このように一問一答で終わらせず、深掘り(突っ込み)を入れる会話を心がけてください。面接官も回答に対して「それはどうして?」と深掘りしてきます。こうした対応力は、日常の会話のキャッチボールでしか育ちません。
まとめ:面接は「先生との楽しいおしゃべり会」と考えよう
私は面接のことを、子どもにプレッシャーを与えないために「先生との楽しいおしゃべり会」と呼ぶことをおすすめしています。
「先生は〇〇くんのことが大好きなんだよ。だから、〇〇くんの好きなことをたくさん教えてあげてね」と伝えれば、子どもは自然と目を輝かせて話し始めます。
上手に話そうとしなくて大丈夫です。相手の目を見て、自分の言葉で話すことができれば、どんな難関校でも合格点は十分に狙えます。


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