MENU
カテゴリー

赤ちゃんの脳と言葉を育てる「マザリーズ」とは?科学的解説

赤ちゃんに話しかけるとき、自然と声が高くなり抑揚が大きくなる理由をご存じでしょうか?

これは単なるあやし声ではなく、赤ちゃんの脳と言葉の発達を促す人類の本能的な話し方と考えられています。

この記事では、マザリーズ(対乳児発話)の特徴や脳科学的効果、正しい使い方、月齢別の実践法などをわかりやすく解説します。

目次

1. マザリーズ(Motherese)の正体とは?

マザリーズは、大人が乳幼児に無意識に使う特有の話し方で、世界中の言語で共通してみられる現象です。

この話し方は、母親だけでなく父親や周囲の大人も使うことがあり、最近では「ペアレンティーズ(Parentese)」とも呼ばれています。
文化や言語を超えた、人間のDNAに刻まれた育児本能の一つと考えられています。

大人同士の会話(ADS)と比べると、マザリーズには以下の特徴があります。

  • 基本周波数が高い:普段の声より1オクターブ近く高いトーンが使われます。
  • 抑揚が大きい:音の高低差が激しく変動します。
  • 話すテンポがゆっくりで間が長い:単語ごとに間を取りながら話します。
  • 母音を強調する:母音を引き伸ばしてはっきり発音します。

2. 脳科学が示すマザリーズの3つの効果

マザリーズは赤ちゃんの言語習得や情緒安定、社会性の発達に重要な役割を果たすと考えられています。

① 言葉の壁を突破する言語習得効果

生まれたばかりの赤ちゃんにとって、大人の早口な会話は音の洪水のようで単語の区切りがわかりにくいです。
マザリーズは文章を単語単位に分解し、重要な言葉を強調して届けることで、赤ちゃんが言葉を認識しやすくします。

例えば、助詞は弱く、名詞は強く発音することで、赤ちゃんが言葉の意味を直感的に理解しやすくなると考えられています。

生後6〜12ヶ月に多くのマザリーズを聞いた赤ちゃんは、2歳時点で語彙数が多い傾向がある研究もあります。

② 情緒の安定とアタッチメント形成

マザリーズの高いトーンとゆったりしたリズムは、赤ちゃんの脳内ホルモンに影響を与えます。
ストレスホルモンのコルチゾールを減らし、愛情ホルモンのオキシトシンを増やすことで、赤ちゃんの安心感や親への信頼感を高めると考えられています。

言葉が通じない時期にマザリーズは感情を伝える無線通信のような役割を果たし、赤ちゃんの心の安全基地を作る助けになるでしょう。

③ 社会性脳の活性化

赤ちゃんは表情豊かで抑揚のあるマザリーズを自分に向けられたメッセージと認識しやすく、注視時間が長くなります。
このやり取りを通じて、共同注意や会話の交代といったコミュニケーションの基礎を学び、社会性を司る脳の領域が活性化すると考えられています。

3. マザリーズと赤ちゃん言葉の違い

マザリーズは言葉を聞き取りやすくする話し方であり、質の悪い赤ちゃん言葉とは異なります。

特徴 マザリーズ(推奨) 質の悪い赤ちゃん言葉(非推奨)
定義 話し方のトーンやリズム 幼児特有の未熟な発音の模倣
具体例 「くーるーまが、来たね〜」(高い声・ゆっくり) 「ブーブー、きまちたね〜」(不自然な語尾・文法崩壊)
目的 言葉を聞き取りやすくする 子供に媚びる、未熟さを真似る
影響 言語習得を促進する 文法理解の妨げになる可能性

「わんわん」「まんま」などの育児語はリズムが良く発音しやすいため、初期の言語発達には有効です。
ただし、「〜でちゅね」のように大人がわざと発音を歪めたり文法を崩すのは避けましょう。

正しい日本語をマザリーズの口調(高いトーン・ゆっくり)で話すことが望ましいです。

4. 月齢別マザリーズの進化プロセス

4. 月齢別マザリーズの進化プロセス

子どもの成長に合わせてマザリーズの話し方も変化させることが大切です。

0〜3ヶ月:感情の共有期

目的は安心感を与え、親の存在を知らせることです。
トーンを高くゆったりとし、「よ〜しよし」「大丈夫だよ〜」のようにメロディーのような抑揚で感情を伝えます。

6〜12ヶ月:音の分析期

目的は母音や子音の違いを聞き分けさせることです。
口を大きく開けてはっきりと話し、「り・ん・ご」「あ・か・い・ね」と一音ずつ区切るように話します。赤ちゃんの声をオウム返しするのも効果的です。

1〜2歳:語彙の爆発期

目的は単語と物の名前を結びつけることです。
指差しをしながら「あれはパトカーだね」と対象物を明確に伝えます。トーンは徐々に通常に戻しつつも、ゆっくり・はっきり話すことを続けます。

5. 忙しい親御さんへ:質を重視した実践法

5. 忙しい親御さんへ:質を重視した実践法

1日15分の濃密なやり取りでもマザリーズの効果は期待できると言われています。

大切なのは「ながら」ではなく「向き合う」ことです。

ワシントン大学が提唱する「ペアレンティーズ」の4つのポイントをご紹介します。

  • Say it properly(正しく言う): 「ちゃーちゃん」ではなく「おかあさん」など本物の言葉を使います。
  • Slow down(ゆっくり話す): 普段の2倍くらいゆっくり話すのが目安です。
  • Stretch it out(引き伸ばす): 母音を伸ばして感情を乗せます。例:「す〜〜〜ご〜〜〜い!」
  • Smile & Show(笑顔で見せる): 顔の表情や口の動きを大げさに見せてあげましょう。

6. よくある疑問 Q&A

Q. 恥ずかしくて高い声が出せません…

A. 無理に裏声を出す必要はありません。
普段よりワントーン明るく、口角を上げて話すだけでも声の響きが変わります。マスクをしている時は目元の表情と抑揚を意識しましょう。

Q. いつまで続ければよいですか?

A. 明確な決まりはありませんが、一般的には2〜3歳頃にかけて徐々に大人の話し方へ移行すると考えられています。
子どもが流暢に話し始めたらマザリーズの役割は終わりですが、ゆっくり・はっきり話す基本は残していくと良いでしょう。

Q. 父親の低い声でも効果はありますか?

A. もちろんです。
女性ほど高い声は出せませんが、ダイナミックな抑揚をつけることで子どもの好奇心を刺激できると言われています。
母親が安心感を与えるなら、父親のマザリーズは社会への冒険を促す刺激になるとも考えられています。

マザリーズは、赤ちゃんに愛を伝える大切なコミュニケーションの技術です。
ぜひ今日から取り入れてみてください。

お受験ラボでは、子育てや受験に役立つ情報をこれからもお届けします。

✦ note限定連載 ✦
お受験ラボの「深掘り記事」はこちら
願書・面接・塾選びの判断材料など、
ブログでは書けない核心的な情報はnoteにまとめています。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

お受験ラボ編集部です。
私たちは、首都圏の私立小学校受験を中心に、ご家庭の不安や疑問に寄り添いながら情報を届ける教育ライターチームです。

一部の記事には、幼児教育の現場経験が豊富な先生方の監修が入っていますが、
学校や試験内容は毎年大きく変化するため、すべての記事が常に最新の情報であるとは限りません。
その点だけ、あらかじめご理解いただければ幸いです。

最新動向の反映には努めつつ、
「今、保護者が本当に知りたいこと」を軸に、正確で実践的な情報の発信を続けています。

コメント

コメントする

目次