お受験ラボ編集部です。今回は、東京都港区にあるカトリック系の女子一貫校、聖心女子学院初等科の2026年度入試について詳しくご紹介します。聖心女子学院は初等科から中等科・高等科、さらに聖心女子大学まで続く「4-4-4制」の一貫教育を実施し、都心とは思えない緑豊かな環境と品格ある校風で多くのご家庭から支持されています。
この記事では、2026年度の入試情報を中心に、偏差値や難易度、直近の倍率や出願状況、試験内容の特徴、そして合格ラインのイメージや準備のポイントまでを丁寧に解説していきます。これから聖心女子学院初等科を志望される方にとって、参考になる情報をお届けできれば幸いです。
※本記事の志願者数・倍率・偏差値は、学校公式発表ではなく、受験情報サイトや塾の独自集計による目安です。出願前には必ず公式の募集要項をご確認ください。
1.聖心女子学院初等科の基本情報と2026年度入試概要
学校の概要と教育理念
聖心女子学院初等科は、東京都港区白金四丁目に位置する私立の女子一貫校です。1908年の創立以来、カトリック精神に基づき「神を敬い、人に仕え、社会に貢献する女性」を育てることを教育の柱としています。初等科から中等科・高等科、さらには聖心女子大学まで進学できる「4-4-4制」の一貫教育が特徴です。
中等科・高等科への進学は原則として内部進学が中心で、外部募集はごくわずかです。そのため、「中学受験をせずに一貫した環境で学ばせたい」と考えるご家庭から安定した支持を得ています。
2026年度入試の基本情報
- 募集人数:女子96名
- 生年月日要件:2019年4月2日〜2020年4月1日生まれ
- 通学条件:おおむね片道60分以内の自宅通学
- 考査料:30,000円
願書受付から面接、考査、合格発表までは例年通り9月から11月の間に行われます。具体的な日程は年度ごとの募集要項で必ずご確認ください。
2.偏差値から見る聖心女子学院初等科の難易度
小学校受験と偏差値の関係性
小学校受験では中学受験のような共通模試がなく、学校公式の偏差値も存在しません。そのため、受験塾や情報サイトが系列中学校・高等学校の偏差値や志願者数・合格者数から算出した倍率、塾内の合格者成績分布などをもとに難易度の目安を提示しています。あくまで参考値であることを念頭に置いてください。
系列校の偏差値と初等科入試の特徴
聖心女子学院中等科の偏差値は首都圏模試や四谷大塚系の指標で50台前半から中盤とされ、中堅から上位校クラスに位置づけられます。初等科入試では、定員96名のうち姉妹や関係者の内輪枠が一定数含まれること、教育理念への共感度が高く第一志望率が非常に高いことから、単純な偏差値以上に競争が激しいと考えられます。
3.直近の倍率・志願者数の推移
受験情報サイトや塾の集計によると、聖心女子学院初等科の近年の志願者数と倍率は以下の通りです。
| 入試年度 | 志願者数(推定) | 合格者数 | 倍率(推定) |
|---|---|---|---|
| 2020年 | 約420名 | 96名 | 約4.3倍 |
| 2021年 | 約500名 | 96名 | 約5.3倍 |
| 2022年 | 約450名 | 96名 | 約4.6倍 |
| 2023年 | 約420名 | 96名 | 約4.3倍 |
| 2024年 | 約430名 | 96名 | 約4.5倍 |
表面上は4〜5倍と、女子御三家級の7〜10倍よりは低く見えますが、内部の優先枠を除いた一般枠の実質倍率はさらに高くなります。また、第一志望率が高いため辞退による倍率の緩和が少なく、数字以上に狭き門であることがうかがえます。
4.試験内容と数字に表れない難しさ
聖心女子学院初等科の入試は、ペーパーテスト、集団テスト(行動観察・運動)、親子面接の三本柱で構成されています。
1)ペーパーテストの特徴
- 話の記憶・聞き取り
- 数量・比較・系列
- 言語・語彙・しりとり
- 図形・構成・観察
- 生活・常識・季節感
単なる計算力や暗記力だけでなく、話を最後まで聞き内容を理解し頭の中で再構成する力が求められます。家庭での読み聞かせや日常会話、豊かな生活経験がそのまま得点に反映されるタイプの出題です。
2)集団テスト(行動観察)のポイント
- 共同制作やゲーム、課題遊びを通じて協調性や約束を守る力を確認
- 指示を最後まで聞き、落ち着いて行動できるか
- 友だちを押しのけて目立つより、周囲をよく見て必要な場面で支えに回れるかが重視される
リーダーシップ型よりも、場をあたたかくするタイプの子が評価されやすい傾向にあります。
3)親子面接で問われること
- 家庭での過ごし方やしつけの方針
- カトリック校を選ぶ理由
- 聖心女子学院を志望した理由
- 親子の普段のコミュニケーションの様子
単に学校のブランドに惹かれたというだけではなく、なぜ女子一貫校なのか、なぜカトリック校なのか、そしてなぜ数あるカトリック校の中で聖心を選んだのかを保護者が自分の言葉で説明できることが重要です。
5.合格ラインのイメージと準備のポイント
ペーパーで求められる水準
塾や模試の結果、合格者の傾向を総合すると、合格ゾーンは以下のようなイメージです。
- 模試や塾内テストで偏差値60前後を安定して取れる
- 「話の記憶」「数量」「図形」「常識」の主要4分野に穴がない
- ケアレスミスが少なく、時間内に最後まで解き切る処理力がある
難問を一発で解くタイプよりも、標準からやや難レベルの問題を確実に得点できる安定感が求められます。
行動観察・面接で評価される家庭像
合格者のご家庭に共通するのは、
- 親子ともに穏やかで、言葉遣いや立ち居振る舞いに一貫した品がある
- 家庭内の会話量が多く、子どもが自分の考えを落ち着いて言葉にできる
- 「人を大切にする」「感謝を言葉にする」といったカトリック的価値観が日常生活に自然に根付いている
聖心女子学院は学力だけでなく、家庭の文化まで含めて選考している学校と言えます。
準備のタイムライン(目安)
- 年中秋〜年長春:数量・図形・言語・常識の基礎固め。読み聞かせや会話を増やし、「聞いて理解する力」の土台を作る。
- 年長夏以降:聖心の過去問や類題を使った本番演習。集団テスト対策(模擬行動観察・プレテストなど)。願書の下書きと保護者面接の練習。
一年以上かけて学力と家庭教育の両面を整えていくことが、聖心女子学院初等科合格への現実的な戦略です。
6.まとめ
聖心女子学院初等科は、港区白金の広いキャンパスを持つカトリック系女子一貫校で、96名の募集に対し約400〜500名の志願者が集まる人気校です。倍率は4〜5倍前後ですが、内部枠の存在や高い第一志望率から、実質的な競争は数字以上に厳しいものとなっています。
試験はペーパー、集団テスト、親子面接の三本柱で構成され、「話を聞いて理解する力」「協調性」「家庭の価値観」が総合的に評価されます。合格にはペーパーで上位2〜3割に入る学力と、聖心の教育理念と響き合う家庭文化が不可欠です。短期決戦ではなく、計画的に一年以上かけて準備を進めることをおすすめします。
偏差値や倍率はあくまで指標の一つに過ぎません。最終的には、ご家庭の価値観と聖心女子学院の教育理念が本当に合っているかをしっかり見極めたうえで、準備を進めてください。


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