小学校受験の問題には、大人でも一瞬迷うものがあります。大人は式や理屈で解こうとしますが、子どもは具体物をイメージしたり、実際に手を動かしたりして答えにたどり着きます。家庭でできるのは、正解を教えることより、子どもが「考え続ける」過程を支えることです。
問題集を開いて「これが5歳向け?」と驚いた経験のある保護者は多いでしょう。小学校受験の問題は、知識の量ではなく、聞いて理解する力や、目に見えるものを手がかりに考える力を見ています。
ここでは、大人が迷いやすい代表的な問題と、子どもの考え方、家庭での関わり方を紹介します。
大人が迷いやすい問題5選
| 問題のタイプ | 内容 | 見ている力 |
|---|---|---|
| 置き換え(数量) | りんご1個=みかん2個、みかん1個=いちご3個のとき、りんご1個はいちご何個? | 具体物で考える力 |
| 重ね図形 | 透明な板に描かれた模様を重ねたときの形を選ぶ | 形を頭の中で動かす力 |
| お話の記憶 | 長いお話を一度だけ聞いて、内容について答える | 聞いて全体の流れをつかむ力 |
| 行動観察(共同作業) | グループで紙コップを積み、高いタワーをつくる | 協力する力、気持ちを切り替える力 |
| お話づくり・絵の続き | 絵の続きを考えて、理由も話す | 自分の考えを言葉にする力 |
① 置き換えの問題
「りんご1個はみかん2個と同じ。みかん1個はいちご3個と同じ。では、りんご1個はいちご何個?」という問題です。大人は式を立てようとして手が止まりがちですが、子どもは「みかん2個は、いちご3個が2つ分だから6個」と、具体物を思い浮かべて答えを出します。
② 重ね図形の問題
透明な板に描かれた模様を重ねたら、どんな形になるかを選ぶ問題です。大人は頭の中だけで考えようとして混乱しがちですが、実物で重ねる経験をしてきた子どもは、見たままの重なりを手がかりに答えを探します。クリアファイルに模様を描いて重ねてみるなど、実物で試すと理解が早くなります。
③ お話の記憶
長いお話を一度だけ聞き、登場人物や出来事、順番について答えます。大人は細部まで覚えようとして疲れてしまいますが、問題が見ているのは、話の流れをつかみ、場面を思い浮かべる力です。毎日の読み聞かせで、「誰が出てきた?」「次に何をした?」と話すことが一番の練習になります。
④ 行動観察の共同作業
グループで紙コップを積み上げてタワーをつくる課題では、タワーの高さより、子どもの関わり方が見られていると言われます。
- 指示を待たずに、自分から動けるか
- 一人で決めてしまわず、友だちの意見も聞けるか
- 崩れたときに前向きに切り替えられるか
- 友だちを責めずに協力できるか
行動観察で見られるポイントは小学校受験の行動観察とは?見られるポイントと家庭での練習法で紹介しています。
⑤ 絵の続きやお話づくり
絵の続きを自由に考え、その理由を話す問題では、正解は一つではありません。理由が一貫しているか、自分の言葉で話しているかが大切です。親が「こう答えるといいよ」と教え込むと、かえって子どもらしい考えが見えにくくなります。
学校が示している出題の観点
ペーパーで何を見ているかを、募集要項で具体的に示している学校もあります。東京農業大学稲花小学校は、2027年度の募集要項(詳細版)でペーパーについて次のように説明しています。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| A群(観点) | 記憶・推理・注意・知識・比較・思考 など |
| B群(題材) | 物語・絵・位置・順序・図形・言語 など |
上の5つの問題も、「置き換え」は推理や比較、「重ね図形」は図形と位置、「お話の記憶」は物語と記憶にあたります。知識の量より、聞いて考える力を見ようとしていることが、学校の説明からも読み取れます。
大人が迷い、子どもが解けることがある理由
大人は、ふだんから結論を急ぎ、最短ルートで答えを出すことに慣れています。そのため、式や理屈に当てはめようとして、目の前の具体的な手がかりを見落としがちです。
一方、幼児は具体物や見たままの情報を手がかりに、試行錯誤しながら考え続けます。小学校受験の問題は、こうした「具体的に考え、考え続ける力」を見ようとしていると言えます。
家庭での関わり方のポイント
- 正解や効率的な解き方を先に教えない
- 「どうしてそう思ったの?」と考えた過程を聞く
- おはじき・積み木・紙など、実物で試せる環境を用意する
- 間違えても、考えたことそのものを認める
ペーパーの分野別の対策は小学校受験ペーパー試験対策、出題内容の全体像は小学受験の問題とは?出題内容と家庭でできる対策を分野別に解説にまとめています。
よくある質問
Q. 親が問題を解けないと、教えられないのでは?
親が解き方を教える必要はありません。解説を読んだうえで、子どもと一緒に実物を使って確かめれば十分です。
Q. 難しい問題はいつごろから取り組めばいいですか?
年長の夏以降、基礎の問題が安定してからで十分です。年中のうちは、パズルや積み木など遊びの中で考える経験を積みましょう。


コメント