小学校受験では、併願校の組み立て方が合否を大きく左右します。
私自身、500組以上のご家庭を見てきましたが、
「実力があるのに結果が出ない家庭」と
「実力以上の成果を出す家庭」の違いは、
実はとてもシンプルです。
それは、併願戦略がしっかり整っているかどうか。
この記事では、安全校・実力校・挑戦校の組み合わせを
“短時間で迷わず決められる”ように、
お受験ラボ流の最適な方法をわかりやすくまとめました。
■ まず結論:併願は“精神安定の装置”である
併願戦略とは、
「もし落ちたときの心の支えをあらかじめ用意する」ための作業です。
- どこか1校でも合格している状態をつくる
- 複数のチャンスを残しておく
- 最後の1校にすべてをかけない
こうした状態が、親御さんの心を安定させ、
結果的に子どもの本番でのパフォーマンスを最大化します。
逆に、
第1志望1本勝負のご家庭は、ほぼ例外なく本番で緊張やプレッシャーに押しつぶされやすいのが現実です。
■ 【併願の黄金比】迷わず決める最適な組み合わせ
迷わず組める最適な構成は、以下の通りです。
■ 安全校(合格可能性80%) × 1校
■ 実力校(合格可能性50%) × 1〜2校
■ 挑戦校(合格可能性20%) × 1校
合計で3〜4校がバランスの良い組み合わせです。
小学校受験は“戦略ゲーム”ではなく、
むしろ“メンタル競技”です。
そのため、併願校の組み方もメンタル設計から逆算することが重要です。
■ ① 安全校(合格可能性80%)の役割と選び方
安全校は「確実に合格しておきたい学校」です。
ここを押さえることで、家庭の空気が落ち着き、子どもも安心して受験に臨めます。
■ 安全校の選び方の基準
- 通塾で安定して上位の成績を取れている
- 模試の偏差値が40後半〜50前半の範囲
- 過去問の形式にほぼ対応できている
- 家庭が好印象を持てる学校であること
※「本当に行きたくない学校」は安全校には適しません。
無理に選ぶと後悔につながるため避けましょう。
■ ② 実力校(合格可能性50%)の特徴と選び方
実力校は、“通うことで子どもが伸びる学校”であり、
“過去問の形式と子どもの相性が良い学校”です。
このゾーンは、最も合格しやすいバランスの取れた範囲と言えます。
■ 実力校の選び方の基準
- 通塾時の席順が中〜上位
- 行動観察が得意な子どもに合う
- 家庭の環境が安定している
- 本番の試験形式と子どものタイプが一致している
実力校は、親子の動きやすさとも深く関わっています。
■ ③ 挑戦校(合格可能性20%)は1校に絞る理由
挑戦校は「合格できれば理想的な学校」です。
■ 挑戦校は1校だけで十分な理由
理由は明確です。
- 親のメンタルが乱れやすい
- 直前期の対策が分散しやすい
- 子どもに負担がかかりやすい
- “本気度の分散”が起こる
挑戦校は絞ることで、成功率が上がるのが現実です。
■ 【併願戦略で絶対に外せないポイント】
■ ① 日程の並び順が合否に影響する
小学校受験は「疲労と緊張」との戦いでもあります。
理想的な受験日程の並びは、以下の通りです。
- 安全校 → ウォームアップの役割
- 実力校 → 実力の仕上がりを確認
- 挑戦校 → 総仕上げの本番
※挑戦校を最初に受けると勝率が大きく下がります。
子どもは“大舞台の初戦”に弱い傾向があるためです。
■ ② 秋の受験期に向けた体力設計
8〜11月は最も疲れがたまりやすい時期です。
併願日程を組む際は、子どもの体力も十分に考慮しましょう。
- 連続受験は最大でも2日までに抑える
- 3日連続の受験は集中力が持たなくなる
- 必ず1日以上の休息日を挟む
本番で最大の力を発揮するには、
受験前の体力管理が何よりも重要です。
■ ③ 願書・面接の日程も含めて計画する
願書の締め切りや面接日が重なることで、
併願が成立しないケースは意外と多いものです。
併願戦略は、
受験日+面接日+願書提出日
この3つのスケジュールをしっかり確認しながら組み立てる必要があります。
■ 【典型的な失敗例】
① 挑戦校を2〜3校入れてしまう
→ 直前期の対策が分散し、全落ちのリスクが高まります。
② 安全校を軽視する
→ 合格が確保できないまま挑戦校に挑み、結果として本番で崩れてしまいます。
③ 夫婦間で併願方針がズレている
→ 家庭内の雰囲気が乱れ、子どもの表情や態度に影響が出ます。
併願は“家庭全体の戦略”です。
夫婦の意見が一致していないと、本番で必ず揺れが生じます。
■ お受験ラボが提案する“最強の併願プロセス”
ステップ①
志望校を3〜5校書き出す(第一志望+気になる学校)
ステップ②
それぞれの学校の試験形式を分類(ペーパー/行動観察/体操/生活)
ステップ③
子どもの得意・苦手と照らし合わせて分類する
- 得意な分野が一致 → 実力校
- 苦手な分野が多い → 挑戦校
- 総合力が合う → 安全校
ステップ④
受験日程(試験+面接+願書)で順番を並び替える
ステップ⑤
“行きたくない学校”は併願から外す
このステップで進めれば、迷わずに併願戦略を組み立てられます。
■ 結論:併願は「合格率の話」ではなく「精神設計」である
合格率は、
メンタルが安定しているご家庭ほど高くなります。
併願はそのための装置であり、
子どもが最大限の力を発揮できるようにする“生活設計”です。
- 安全校を1校
- 実力校を1〜2校
- 挑戦校を1校
この黄金比で組めば、
本番の3〜5週間にわたる受験戦を、最も強い形で乗り切ることができます。


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