MENU

小学校受験の模試活用法|結果の見方・受ける回数・偏差値の正しい理解

小学校受験の模試活用法|結果の見方・受ける回数・偏差値の正しい理解1

小学校受験における模試は、
順位を競うためのイベントではなく、弱点を発見するための検査です。

ところが、多くのご家庭では模試を合否の予告のように捉え、結果に一喜一憂してしまい、受験対策の方向性を見失いがちです。

私がこれまで500以上の家庭を見てきた経験から言えることはただ一つ。

模試は正しく活用すれば最強の成績アップツールとなり、間違った使い方をすると不安を増やすだけの装置になってしまうということです。

ここでは、模試を合格へ最短でつなげるための「正しい運用方法」を、実務的な視点で整理してお伝えします。


■ 結論:模試の役割は“3つだけ”

模試の役割はこの3つに絞られます。これ以外の使い方は誤解です。

  1. 弱点の種類を把握すること
  2. 課題の優先順位を確定すること
  3. 本番のシミュレーションをすること

偏差値や判定のために受けるものではありません。合否予想は模試の本来の役割ではないのです。


【1】模試の結果の“正しい見方”

偏差値よりも注目すべきポイントがあります。

目次

■ ① 「何を間違えたか」ではなく「なぜ間違えたか」を考える

例えば、

  • 落ち着いていなかった
  • 指示を聞き間違えた
  • ペース配分が遅かった
  • 図形の操作が苦手
  • 表示形式に慣れていなかった

小学校受験は単なる学力テストではなく、処理能力を問うテストです。
原因を特定できれば、約8割の課題は解決可能です。


■ ② 行動観察の記述欄を最重視する

ここを軽視するご家庭が非常に多いのですが、実は最も重要な部分です。

  • リーダーシップ
  • 状況理解
  • 協調性
  • 競争時の態度
  • 切り替えの早さ
  • 話し方・聞き方

これらはどの学校でも評価される核心的な要素であり、偏差値よりも重要視すべきポイントです。


■ ③ 課題別の“処理スピード”を確認する

成績の差は理解度よりも処理スピードの差で生まれます。

  • 図形
  • 言語
  • 推理
  • 数量
  • パターン認識

これらの分野ごとの処理スピードを把握することで、直前期に優先すべき課題の順位付けができます。


■ ④ 過去3回の成績の“方向性”をチェックする

単発の模試の結果だけでは判断が難しいです。重要なのは、

「3回の模試の平均点が上向きかどうか」

右肩上がりなら合格率が高く、横ばいなら補強が必要、下り坂なら対策が間違っている可能性があります。

この方向性こそ、最も重要な指標です。


【2】受験すべき模試の“適正回数”

■ 年間4〜6回が最も効率的

中には年間10回以上受けるご家庭もありますが、実は成績の安定度はむしろ下がる傾向にあります。

その理由は、

  • 模試は緊張して疲れる
  • 復習の時間が削られる
  • テクニックに偏りやすい
  • 模試慣れが本番で逆効果になることもある

理想的な受験回数は、

  • 年中:1〜2回
  • 年長前半:2〜3回
  • 年長秋:1回(必要なら2回まで)

これ以上の回数は基本的に不要です。


【3】偏差値の正しい意味

偏差値は子どもの“成長の過程”を示すものではありません。

小学校受験における偏差値は、
あくまで塾内部の母集団内での順位を示すに過ぎません。

■ 偏差値60台 → 本番でも安定しやすい

■ 偏差値50前後 → 対策次第で逆転可能

■ 偏差値40台 → 苦手を1つ直せば大きく伸びる

小学校受験は構造的に偏差値が変動しやすい試験です。
数値よりも“課題の種類”に注目する方がはるかに価値があります。


【4】模試で成績を最短で伸ばす3ステップ

■ ステップ①:間違えた問題を「3つのタイプ」に分類する

  1. 理解不足
  2. ケアレスミス
  3. スピード不足

この分類ができると、
次に何をすべきかが明確になります。


■ ステップ②:弱点は1つだけ改善に集中する

模試ごとにすべての弱点を直そうとすると、かえって失敗しやすいものです。

成績が伸びるご家庭は必ずこうしています。

→ 模試1回につき、改善するポイントは1つだけに絞る

その1つが改善されると、次の模試で偏差値が安定して上がることが多いです。


■ ステップ③:模試は本番と同じ環境で“メンタル練習”に活用する

模試当日は本番と同じ生活リズムや環境を整えることが大切です。

  • 早寝早起き
  • 朝食の量
  • 移動時間
  • 水分補給
  • 服装
  • トイレのタイミング

受験は生活の連続です。模試はその生活リハーサルとして活用しましょう。


【5】行動観察・制作・体操模試は“1〜2回”で十分

多くのご家庭が誤解しがちですが、行動観察の模試を何度も受けても大きな伸びは期待できません。

理由は、

  • 環境に慣れてしまい、本質が見えにくくなる
  • 模試の形式が学校の本番と一致しないことが多い
  • 本番の行動は日常生活の積み重ねが反映される

本当に必要なのは本番慣れではなく、
家庭での生活習慣の安定です。

行動観察は家庭内の改善が得点に直結します。


【6】模試の復習は“当日30分”だけで十分

模試の復習はやりすぎると逆効果になることがあります。

復習時間は次のように配分するのが最適です。

  • 当日:30分(解き直しと原因確認)
  • 翌日以降:弱点の1分野だけを継続して補強

これ以上の復習は時間の無駄になりやすいので注意しましょう。


■ 結論:模試は「弱点発見の道具」であり

「成績の予告装置」ではない

模試は練習試合のようなものです。勝ち負けを競う場ではありません。

合格する家庭に共通しているのは、

  • 結果に一喜一憂せず動じない
  • 改善ポイントを1つに絞って取り組む
  • 成績の方向性を見て次の対策につなげる

この3つのポイントだけです。

模試は使い方を間違えなければ、
成績を最速で安定させる強力なツールになります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

お受験ラボ編集部です。
私たちは、首都圏の私立小学校受験を中心に、ご家庭の不安や疑問に寄り添いながら情報を届ける教育ライターチームです。

一部の記事には、幼児教育の現場経験が豊富な先生方の監修が入っていますが、
学校や試験内容は毎年大きく変化するため、すべての記事が常に最新の情報であるとは限りません。
その点だけ、あらかじめご理解いただければ幸いです。

最新動向の反映には努めつつ、
「今、保護者が本当に知りたいこと」を軸に、正確で実践的な情報の発信を続けています。

コメント

コメントする

目次