小学校受験の倍率は、「何で割った数字か」によって意味が大きく変わります。志願者数を募集人員で割った「志願倍率」と、受験者数を合格者数で割った「実質倍率」の違い、募集人員に内部進学者が含まれるかどうか、男女の差の3点を押さえると、難易度を正しく読めるようになります。
「倍率10倍」と聞くと、とても手の届かない学校に感じるかもしれません。しかし、倍率の出し方は学校や情報源によってまちまちで、同じ学校でも数字が倍近く違うことがあります。
この記事では、2026年度の入試データをもとに、倍率の正しい見方と、定員・内部進学・卒業後の進路まで含めた難易度の読み方をまとめました。
倍率には「志願倍率」と「実質倍率」がある
| 種類 | 計算方法 | 特徴 |
|---|---|---|
| 志願倍率 | 志願者数÷募集人員 | 最もよく使われる。出願したものの受験しなかった人も含む |
| 実質倍率 | 受験者数÷合格者数 | 繰り上げ合格などで合格者が募集人員より多いと、志願倍率より低くなる |
たとえば東京農業大学稲花小学校の2026年度入試は、志願者1,006名に対して募集72名で、志願倍率は約14倍ですが、受験者÷合格者では約8.4倍です。どちらも正しい数字ですが、受ける側の実感に近いのは実質倍率です。
学校が合格者数を公表しない場合は、志願倍率しか計算できません。記事や資料を比べるときは、同じ計算方法の数字どうしで比べることが大切です。
募集人員に内部進学者が含まれるかを確認する
系列の幼稚園がある学校では、幼稚園からの内部進学者が募集人員に含まれる場合と、別枠の場合があります。含まれる場合は、外部から受験する子が実際に争う枠は募集人員より少なくなります。
| 学校 | 募集人員 | 内部進学者の扱い |
|---|---|---|
| 青山学院初等部 | 88名 | 青山学院幼稚園からの内部進学者は別枠 |
| 学習院初等科 | 約80名 | 学習院幼稚園からの進学者は別枠 |
| 雙葉小学校 | 女子約40名 | 附属幼稚園からの進学者は別枠 |
| 聖心女子学院初等科 | 女子90名 | 内部進学者を含まない |
| 東洋英和女学院小学部 | 80名 | 東洋英和幼稚園からの30名を含む(外部募集は約50名) |
| 暁星小学校 | 男子120名 | 暁星幼稚園からの約40名を含む(外部は約80名) |
| 洗足学園小学校 | 男女約80名 | 内部進学者を含む |
男女で倍率が大きく違う学校もある
共学校では、男女の募集人員や志願者数の違いから、男女で倍率が大きく異なることがあります。
| 学校 | 男子 | 女子 |
|---|---|---|
| 慶應義塾幼稚舎 | 約8.8倍(募集96名) | 約12.3倍(募集48名) |
| 慶應義塾横浜初等部 | 約11.2倍(募集66名) | 約14.9倍(募集42名) |
| 桐朋学園小学校 | 約13.6倍(志願者463名) | 約5.6倍(志願者191名) |
慶應の2校は女子の募集が少ないため女子のほうが狭き門に、桐朋学園小学校は男子の志願者が多いため男子のほうが狭き門になっています。全体の倍率だけでなく、わが子の性別の倍率を確かめましょう。
主要校の倍率一覧(2026年度)
| 学校 | 募集人員 | 志願者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 東京農業大学稲花小学校 | 72名 | 1,006名 | 約14倍 |
| 慶應義塾横浜初等部 | 108名 | 1,364名 | 約12.6倍 |
| 早稲田実業学校初等部 | 108名 | 1,205名 | 約11倍 |
| 東洋英和女学院小学部 | 外部約50名 | 561名 | 約11倍 |
| 慶應義塾幼稚舎 | 144名 | 1,438名 | 約10倍 |
| 桐朋学園小学校 | 68名 | 654名 | 約9.6倍 |
| 学習院初等科 | 約80名 | 720名 | 約9倍 |
| 青山学院初等部 | 88名 | 約620名 | 約7倍 |
| 暁星小学校 | 外部約80名 | 483名 | 約5.5倍 |
| 洗足学園小学校 | 約80名(内部含む) | 602名 | 約5.1倍(志願者÷合格者) |
| 聖心女子学院初等科 | 90名 | 454名 | 約5倍 |
| 精華小学校 | 80名 | 306名 | 約3.8倍 |
卒業後の進路も「学校の難しさ」の一部
小学校選びでは、入試の難しさだけでなく、卒業後にどこへ進めるかも大切です。系列の中学校へ進める学校と、中学受験が前提の学校では、6年間の過ごし方が大きく変わります。
| 学校 | 卒業後の進路 |
|---|---|
| 慶應義塾幼稚舎 | 普通部・中等部・湘南藤沢中等部から選んで進学 |
| 慶應義塾横浜初等部 | 部長の推薦で湘南藤沢中等部へ。ほぼ全員が慶應義塾大学へ |
| 早稲田実業学校初等部 | 条件を満たせば中等部へ。高等部から早稲田大学へ9割以上が推薦進学 |
| 青山学院初等部 | 推薦で青山学院中等部へ(例年約98%) |
| 学習院初等科 | ほとんどが学習院中等科(男子)・学習院女子中等科(女子)へ |
| 東京農業大学稲花小学校 | 校長の推薦で東京農業大学第一高等学校中等部へ |
| 桐朋学園小学校 | 学校長の推薦で桐朋中学校(男子)・桐朋女子中学校(女子)へ |
| 洗足学園小学校 | 女子は洗足学園中学校へ進学可能。男子は外部の中学を受験 |
| 精華小学校 | 男子は外部の中学を受験。女子は神奈川学園中学校へ内部進学可(試験あり) |
大学まで系列校が続く学校は、受験のない環境で長く学べる一方、入試の倍率が高くなりがちです。洗足や精華のように中学受験を前提とする学校は、難関中学への合格実績が学校選びの大きな判断材料になります。
倍率を正しく読むための3つのチェックポイント
- その倍率は「志願者÷募集人員」か「受験者÷合格者」か
- 募集人員に内部進学者が含まれているか(外部の実質的な枠は何名か)
- 男女別の倍率はどうか(わが子の性別の倍率を見る)
よくある質問
Q. 倍率が10倍の学校は、10人に1人しか受からないのですか?
志願倍率が10倍でも、出願して受験しない人や繰り上げ合格があるため、受験者から見た実際の倍率はそれより低くなることがよくあります。合格者数が公表されている学校は、受験者÷合格者でも確認しましょう。
Q. 倍率が低い学校は入りやすいのですか?
そうとは限りません。精華小学校のように倍率が3〜4倍台でも、しっかり準備してきた家庭が集まる難関校もあります。倍率だけでなく、試験内容や受験者層も見て判断しましょう。
Q. 内部進学者が多い学校は不利ですか?
募集人員に内部進学者が含まれる学校では、外部から受験する子の枠は少なくなります。ただ、志願倍率は外部の枠で計算されていることも多いので、計算の前提を確認することが大切です。
まとめ
- 倍率には志願倍率(志願者÷募集人員)と実質倍率(受験者÷合格者)がある
- 募集人員に内部進学者が含まれる学校は、外部の実質的な枠が少ない
- 男女で倍率が大きく違う学校があるので、性別ごとの倍率を確かめる
- 卒業後の進路(系列中学への進学か中学受験か)も含めて学校を選ぶ

