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私立小学校からの進路選択|内部進学の現実と外部受験のポイント

私立小学校からの進路選択|内部進学の現実と外部受験のポイント1

小学校受験を乗り越え、私立小学校に入学したあなたは、「これで高校・大学まで安心」と感じるかもしれません。しかし、実際にはまだ進路選びの重要な局面が待っています。

私立小学校には、大きく分けて「内部進学」を主軸とする学校、「難関中学への外部受験を前提とする進学対応校」、そしてその両方の選択肢を持つ学校があります。

この記事では、私立小学校からの進路の実態を具体的なパターンや実例を交えながら解説します。6年後の出口戦略を知り、「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためのヒントにしてください。


目次

1. 私立小学校の進路パターンを知る

私立小学校といっても、その進路方針によって学校の特色は大きく異なります。まずは大きく3つのタイプに分けて理解しましょう。

① 大学附属・一貫教育型(内部進学重視)

  • 代表例:慶應、早稲田、青山学院、成城学園、学習院、立教など
  • 特徴:9割以上の生徒が系列の中学校へ進学します。カリキュラムは受験勉強よりも教養や体験学習に重点を置いています。
  • 注意点:外部へ進学するのは、医学部志望や成績不振、校風が合わなかった少数派です。

② 進学指導・受験対応型(外部受験重視)

  • 代表例:宝仙学園(東京)、洗足学園(神奈川)、淑徳(東京)、さとえ学園(埼玉)、国立音楽大学附属(東京)など
  • 特徴:御三家や難関中学合格を目指すカリキュラムで、学校の授業が受験対策に直結。通塾を前提としたスケジュールの場合もあります。
  • メリット:周囲が受験モードなので、公立小のように孤独を感じにくい環境です。

③ 選択・併設型(内部進学と外部受験のハイブリッド)

  • 代表例:暁星、白百合学園、光塩女子学院、川村など
  • 特徴:系列の中学校・高校がある一方で、一定数はより上位や共学校を目指して外部受験します。
  • 実態:学校によっては内部進学の権利を保持したまま外部受験を認める場合と、退路を断つ必要がある場合があります。

2. 内部進学の現実|自動的に進めるわけではない

附属校だからといって全員が自動的に進学できるわけではありません。多くの学校では6年生の段階で内部進学テストや厳しい査定が行われます。

実例ケースA:成績不振による退路の断絶

ある名門カトリック系女子校では、5年生時点で成績下位10〜15%の家庭に学校から連絡が入り、「このままでは系列中学の授業についていけません」と通告されます。事実上、系列中学への進学が難しくなり、公立中学へ進むか、急遽中学受験塾に入る必要が出てきます。タイミング的に非常に厳しい戦いとなるケースです。

実例ケースB:男子の外部受験が多い学校

共学の大学附属校や、小学校は共学でも中学から女子校になる学校では、男子は外部受験を余儀なくされることが多いです。また、系列中学の偏差値が低い場合、男子児童や家庭は開成や麻布などの難関男子校を目指し、4〜5年生から塾に通い外部受験組として別の道を歩み始めます。


3. 外部受験の実態|私立小生は有利?不利?

私立小学校に通いながらSAPIXや早稲田アカデミーに通い、難関中学を目指す道は想像以上にハードです。

デメリット:時間的な制約とダブルスクールの負担

  • 通学時間:私立小生は往復1〜2時間の電車通学が基本。公立小の子が遊んでいる時間も電車に乗っています。
  • 学校行事:私立小は行事が多く、塾の講習と林間学校が重なることも珍しくありません。
  • 宿題の量:公立小に比べ宿題が多いため、塾の課題と合わせて負担が大きくなりがちです。

メリット:環境と基礎学力の高さ

  • カリキュラムの進度:私立小は独自教材を使い進度が速い傾向にあります。
  • 精神的成熟:電車通学での経験やしっかりした躾により、精神年齢が高く塾の授業に集中できる子が多いです。
  • 同じ環境の仲間:受験対応型の私立小なら、休み時間にクラスメイトと塾の話題を共有できるため孤立しにくいです。

4. 成功と苦悩のケーススタディ

実際に私立小から進路を選んだ家庭の典型的なパターンを紹介します。

Case 1:名門附属から医学部を目指して外部受験

(都内大学附属小 → 難関進学校へ) 慶應や青学などの附属小に入学後、医師家系の家庭や理系志望の子は、内部進学枠が狭いため、内部推薦よりも一般受験で医学部を目指す道を選びます。小4から塾に通い外部受験を目指すケースです。成功すれば理想的ですが、失敗すると元の附属中には戻れないリスクがあります。

Case 2:公立中学回避のための中学受験

(中堅私立小 → 難関中学へ) 地元の公立中学環境が不安なため、中堅私立小に入学。6年間落ち着いた環境で学習習慣を身につけ、塾に通って難関中学を目指します。学校が外部受験に協力的でない場合もありますが、環境を買った分、学習効率は高く成功率は比較的良好です。

Case 3:受験対応型私立小から最難関中学へ

(進学重視の私立小 → 最難関中学へ) 最初から中学受験をゴールに設定した家庭で、学校の授業と塾が連動し効率的に学習します。実績は高いものの、順位競争が激しいため子どものメンタルケアが重要です。


5. 志望校選びで必ず確認したいポイント

これから小学校受験を考えるあなたに、進路で失敗しないための3つの確認ポイントをお伝えします。

① 過去3年間の外部進学率をチェックする

パンフレットの進路実績をよく見てください。卒業生の何%が系列中学に進んでいるか、外部受験者の進学先はどこか(難関校か公立中か)を把握しましょう。

② 併願の可否を必ず確認する

学校説明会の個別相談で「系列中学校への推薦権を保持したまま他の中学校を受験できますか?」と質問してください。
併願可能な学校:安心してチャレンジできます(例:カリタス、聖セシリアなど)。
不可の学校:推薦辞退届を求められ、背水の陣となります。

③ 通塾率と学校の受験スタンスを調べる

「塾に行かなくても学校の勉強だけで大丈夫」と言う学校は、
A:本当に補習が充実して面倒見が良い場合、
B:受験対策をしないため、受験は自己責任とする場合、のどちらかです。口コミや塾の先生の話を参考にしましょう。


6. まとめ:私立小はゴールではなくスタートのプラットフォーム

私立小学校への入学は、すごろくの「上がり」ではありません。質の高い6年間を過ごすためのプラットフォームと考えてください。

  • 大学までの一貫教育という環境を選ぶのか、
  • 中学受験を有利に進める環境を選ぶのか、

どちらの環境を提供しているかを見誤ると、親子ともに苦しい6年間になることもあります。

もし志望校選びで迷っているなら、6年生の卒業式に親子でどんな顔をしていたいかを想像してみてください。
「受験勉強なしでのびのび成長した姿」か、「難関中学合格の証書を手にしたたくましい姿」か。そのイメージに合う進路実績を持つ学校が、あなたの家族にとっての正解です。


次にあなたがすべきこと

志望校のウェブサイトにある「進路状況(進学実績)」のページを開いてみてください。もし「系列中への進学数」と「卒業生総数」に大きな差があれば、そこには書かれていないドラマ(外部受験や成績不振による退路断絶など)が隠れている可能性があります。
その理由を、塾の先生や学校説明会の個別相談で勇気をもって尋ねてみることが、最初の一歩です。

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この記事を書いた人

お受験ラボ編集部です。
私たちは、首都圏の私立小学校受験を中心に、ご家庭の不安や疑問に寄り添いながら情報を届ける教育ライターチームです。

一部の記事には、幼児教育の現場経験が豊富な先生方の監修が入っていますが、
学校や試験内容は毎年大きく変化するため、すべての記事が常に最新の情報であるとは限りません。
その点だけ、あらかじめご理解いただければ幸いです。

最新動向の反映には努めつつ、
「今、保護者が本当に知りたいこと」を軸に、正確で実践的な情報の発信を続けています。

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