慶應義塾幼稚舎の考査は、絵画制作・運動・行動観察の3つです。ペーパーテストも保護者面接もありません。対策の軸は「指示を聞いて動く力」「自分の考えを形にする力」と、家庭の考えを伝える願書の3点です。
幼稚舎は公式サイトで「受験に当たって特別な準備は必要ありません」と説明しています。実際、考査で見られるのは、ふだんの遊びや生活の中で育つ力です。ただ、何を意識して日々を過ごすかで、当日の姿は変わってきます。
この記事では、考査の項目ごとに家庭でできる準備と、面接がない幼稚舎で重みを持つ願書の考え方をまとめました。倍率や日程、学費は慶應義塾幼稚舎の倍率は約10倍|2027年度の試験内容・日程・併願・学費で解説しています。
考査の全体像
| 項目 | 主な内容 | 見られること |
|---|---|---|
| 絵画制作 | テーマに沿った想像画、制作と絵を組み合わせた課題 | 発想、説明する力、道具の扱いと片付け |
| 運動 | 模倣体操、サーキット運動 | 指示の聞き取り、観察力、最後までやり切る姿勢 |
| 行動観察 | 初対面の子とのグループ活動・ゲーム | 協調性、自分の意見、ルールを守る |
考査は生年月日順にグループ分けして行われます。公式サイトでは「生まれ月による有利不利はありません」とされているので、早生まれだからと焦る必要はありません。
絵画制作対策:描いたものを言葉で説明できるように

絵画制作では、「もし◯◯だったら」といった想像の場面を描く課題や、作ったものと絵を組み合わせる課題が出されます。絵の上手さを競う試験ではありません。
大切なのは、テーマを聞いて自分なりのアイデアを出せること、そして何を描いたのか、なぜそうしたのかを自分の言葉で説明できることです。作業のあとに道具をしまい、紙くずを片付けるところまでが課題だと考えておきましょう。
家庭でできる練習
- 「雲に乗れたら何をする?」など、答えのないテーマで絵を描く遊びをする
- 描き終わったら「これは何?」「どうしてこの色にしたの?」と聞き、説明してもらう
- はさみ・のり・クレヨンの扱いに慣れ、使い終わったら自分で片付ける
- 決められた時間内に描き終える経験もしておく
運動対策:運動神経より「見て、聞いて、まねる」力

運動では、先生の動きをまねる模倣体操と、走る・跳ぶ・くぐる・投げるといった動きを続けて行うサーキット運動が中心です。
模倣体操
先生の手足の向きや順番を正確に見て、そのとおりに動けるかが問われます。運動能力よりも、集中して先生を見続ける力と、間違えたときにすぐ直そうとする姿勢が大切です。
サーキット運動
いくつもの動きを順番に行うため、最初の説明を一度で覚えられるかがポイントです。速さよりも、ルールどおりに最後まで全力で取り組むこと、待っている間に落ち着いていられることが見られます。
家庭でできる練習
- 親がポーズをとり、子どもがまねる「まねっこ遊び」を日常的にする
- 公園で、ケンケン・スキップ・ボール投げなど基本の動きに親しむ
- 「ベンチまで走ったら、次はジャンプを3回」のように、2〜3段階の指示で遊ぶ
- 雑巾がけやぶら下がりなど、生活の中で全身を使う機会を作る
行動観察対策:仕切るより「一緒に楽しめる」こと
行動観察では、初対面の子どもたちとグループになり、ゲームや課題に取り組みます。リーダーシップを発揮しなければと考える保護者は多いのですが、無理に仕切る必要はありません。
見られているのは、自分の意見を言いつつ相手の話も聞けるか、道具を独り占めせずに順番を守れるか、困っている子に声をかけられるかといった姿です。指示を待つだけでなく、課題そのものを楽しんで取り組める子が自然と目に留まります。
家庭でできる練習
- きょうだい以外の子と遊ぶ機会を意識して増やす
- ボードゲームやカードゲームで、負けたときの気持ちの切り替えを経験させる
- 日常の会話で「どうしたい?」「どうしてそう思う?」と考えを言葉にしてもらう
願書:面接がないからこそ、家庭の考えを伝える唯一の書類
幼稚舎には保護者面接がありません。そのため、願書が家庭の教育方針や子どもの人柄を学校に伝える、ほぼ唯一の手段になります。
幼稚舎は慶應義塾の創立者・福澤諭吉の「独立自尊」の考えを大切にしている学校です。家庭で大切にしてきたこととこの理念が重なる部分を、具体的なエピソードで書くことで、幼稚舎を選んだ理由に説得力が生まれます。理念を理解するために『福翁自伝』など福澤諭吉の著作を読む家庭も多くあります。
- 子どもの長所は、「優しい」ではなく、実際にあった出来事で書く
- 家庭の教育方針は、両親がどう関わってきたかがわかるように書く
- 「伝統」「環境」など、どの学校にも当てはまる理由で終わらせない
- 記入欄や設問は年度で変わることがあるため、その年の募集要項に沿って書く
公式サイトでは、紹介状や推薦状は必要なく、受け取ってもいないと明記されています。また、受験にあたって寄付金や入学予約金を払うことも一切ありません。こうした噂に惑わされず、願書の中身に力を注ぎましょう。
年長1年間の過ごし方
- 春(4〜5月):外遊びや工作の時間を増やし、指示を聞いて動く遊びを取り入れます。5月には学校説明会の動画配信と学校見学会があります。
- 夏(7〜8月):旅行や自然体験など、子どもが「やってみて、どう感じたか」を話せる経験を積みます。願書に書くエピソードの材料にもなります。
- 9月:募集要項を購入し、願書の下書きを両親で何度も見直します。
- 10月:願書を郵送します(10月1日・2日の消印)。新しいことを詰め込むより、体調と生活リズムを整える時期です。
- 11月:指定された日に考査を受けます。「楽しんでおいで」と送り出せる余裕を持ちましょう。
よくある質問
Q. 幼児教室に通わないと合格は難しいですか?
幼稚舎は公式に「特別な準備は必要ありません」としており、幼稚園や保育園に通っていないことも合否に影響しないと説明しています。教室に通うかどうかより、家庭で考査に必要な力を育てられているかが大切です。
Q. 運動が苦手な子は不利ですか?
求められるのは高い運動能力ではなく、先生をよく見てまねること、指示どおりに最後まで取り組むことです。苦手意識がある場合は、公園遊びの中で基本の動きに慣れておくと安心です。
Q. 保護者の学歴や職業は影響しますか?
公式サイトでは、国籍・職業・学歴、家族構成による合否への影響はないと明記されています。
まとめ:日々の遊びと生活が、そのまま考査の準備になる
慶應義塾幼稚舎の考査は、絵画制作・運動・行動観察の3つで、ペーパーテストも面接もありません。見られるのは、指示を聞いて動く力、自分の考えを形にして伝える力、友達と一緒に楽しめる力です。
これらは短期間の特訓より、家庭での遊びや会話の積み重ねで育ちます。そして、面接がない分、願書で家庭の考えを丁寧に伝えることが欠かせません。


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