はじめに:慶應義塾幼稚舎が「別格」と言われる理由
お受験ラボ編集部です。慶應義塾幼稚舎は日本最古の私立小学校であり、慶應義塾の一貫教育の出発点として高い評価を受けています。多くの小学校受験校の中でも、その存在感は際立っており、特に独自の入試方式や6年間クラス替えがない担任持ち上がり制、そして圧倒的なブランド力が特徴です。
この記事では、公式情報だけではわかりにくい慶應義塾幼稚舎の受験事情や学費の実態、倍率の現状、さらに合格に向けた具体的な対策を最新データをもとに詳しくご紹介します。これから受験を検討されているあなたの参考になれば幸いです。
1. 偏差値がない慶應義塾幼稚舎の難易度と倍率の実態
偏差値が通用しない理由とは?
「慶應義塾幼稚舎 偏差値」と検索される方は多いのですが、実はこの学校に偏差値という概念は存在しません。なぜなら、入試において文字の読み書きや計算などのペーパーテストが一切行われないからです。
しかし、難易度を一般的な尺度で考えれば、間違いなく日本最難関レベルと言えます。知能だけでなく運動能力や絵画・制作のセンス、協調性や行動力、さらには家庭の教育環境まで総合的に評価されるため、対策の難しさは他校を大きく上回ります。
高倍率が示す狭き門の現実
例年の倍率は以下の通りで、非常に競争が激しいことがわかります。
- 募集定員:男子96名 / 女子48名(計144名)
- 志願者数:男子約1,000名強 / 女子約600名強
- 実質倍率:男子 約10倍〜11倍、女子 約12倍〜13倍
特に女子の倍率は非常に高く、単なる運や縁だけでなく、際立った魅力や能力がなければ合格は難しい数字です。
2. 慶應義塾幼稚舎の学費と寄付金の実態
「普通のサラリーマン家庭でも通えるのか?」という疑問にお答えします
実際の費用感を詳しくご説明します。
学費の内訳(初年度と2年目以降)
私立小学校の中でもトップクラスの学費設定です。
- 入学金:340,000円
- 授業料:940,000円/年
- 施設設備費:350,000円/年(初年度のみ別途必要な場合あり)
- 給食費等:約150,000円〜/年
- 初年度納入金合計:約165万円〜170万円
2年目以降も年間約130万円〜140万円の納入が必要となり、6年間の学費だけで約900万円前後を見込む必要があります。
寄付金や学校債の重要性
募集要項には「任意」と記載されていますが、多くのご家庭が協力しています。
- 慶應義塾債(学校債):1口10万円(3口以上が目安・卒業時に返還)
- 教育振興資金(寄付金):1口3万円(特別寄付として数十万円単位で納めるケースも一般的)
見落としがちな隠れた費用
- 制服・指定品一式:初期費用で約20万円〜30万円
- 保護者間の交流費用:ランチ会やコミュニティ活動など、一般的な公立校とは異なる費用がかかることも覚悟が必要です
3. ペーパーテストなしの入試内容を詳しく解説
慶應義塾幼稚舎の入試は「考査」と呼ばれ、子どもの「本質的な姿」を見極めることに特化しています。
① 模倣体操(運動テスト)
先生の動きを真似る試験ですが、単に運動神経が良いだけでは合格できません。
- 観察力:先生の動きを正確に見ているか
- 理解力:指示を一度で理解できるか
- 集中力:待機中に落ち着いていられるか
- 修正力:間違えた時にどう立て直すか。サーキット運動などの課題が出る年もあります
② 行動観察(集団遊び・課題解決)
初対面の子どもたちとグループになり、ゲームや課題に取り組みます。
- 協調性:自分勝手な行動をしていないか
- リーダーシップ:場を仕切るだけでなく、困っている子を助けられるか
- 夢中になる力:子どもらしく、目を輝かせて遊んでいるか
ただおとなしく良い子でいるだけでは、幼稚舎が掲げる「獣身を成して後に人心を養う」という理念には合いません。子どもらしい元気とエネルギーが求められます。
③ 絵画・制作
絵の上手さではなく、「発想の豊かさ」や「自分の言葉で説明できるか」が評価されます。制作中に出るゴミを自分で片付けるか、道具を大切に扱うかといった生活習慣も重要なポイントです。
4. 合格後の学校生活:給食・制服・担任制の魅力
合格後に待つ慶應義塾幼稚舎ならではの特別な学校生活についてご紹介します。
ホテルニューオータニが手掛ける給食
幼稚舎の食堂「自尊館」で提供される給食は、ホテルニューオータニが調理・運営を担当しています。
- 温かい料理は温かく、冷たい料理は冷たく提供されるこだわり
- アレルギー対応も万全です
- 食事のマナーや栄養学を学ぶ「食育」の場としても機能し、日本一豪華で教育的な給食と言えるでしょう
6年間クラス替えなしの担任持ち上がり制
幼稚舎最大の特徴の一つです。入学から卒業までの6年間、クラスメイトも担任の先生も変わりません。
- メリット:家族のような深い絆が生まれ、先生が子どもの成長を長期的に見守れます
- クラス編成:K組、E組、I組、O組(Keioの頭文字)という4クラス体制です
伝統の制服とランドセル
- 男子:黒の詰め襟に金ボタン、半ズボン
- 女子:グレーのワンピース(夏は白)。ランドセルは独自の形で校章が入っており、幼稚舎生の誇りの象徴です
5. 【保存版】例年の受験スケジュール(9月〜11月)
これから受験準備を本格化させるあなたのために、例年の大まかな流れを整理しました。なお、日程は年度により前後することがありますので、必ず最新の募集要項を確認してください。
| 時期 | イベント内容・注意点 |
|---|---|
| 7月〜8月 | 学校説明会・公開行事(実施されない年もあるため、公式サイトでの確認が必要です) |
| 9月上旬 | 募集要項(願書)販売(慶應義塾大学三田キャンパスなど指定場所で購入します) |
| 10月上旬 | 入学願書受付(近年はWeb入力と書類郵送が主流。志望動機の記入が最も重要なポイントです) |
| 10月中旬 | 受験票交付(Webまたは郵送で受け取ります) |
| 11月1日〜7日頃 | 入学試験(考査)(生まれ月によって試験日が割り振られます。男子は1日〜3日頃、女子は4日〜6日頃です) |
| 11月10日〜15日頃 | 合格発表(Web発表と掲示板発表があり、伝統的な合格風景も見られます) |
| 11月下旬 | 入学手続き(入学金などの納入を行います) |
願書の志望動機が実質的な面接代わり
慶應義塾幼稚舎では、基本的に保護者面接はありません(ただしコロナ禍などの状況により変更の可能性はあります)。その代わり、願書の「志望理由」や「福翁自伝を読んでの感想」などの記述欄が、実質的な面接の役割を果たします。
ここで家庭の教育方針と学校の理念がどれだけ合致しているかを示せなければ、合格への第一歩を踏み出すことは難しいでしょう。
まとめ:慶應義塾幼稚舎が求める子ども像とは?
慶應義塾幼稚舎の受験は、単なる知育教育の延長ではありません。福澤諭吉先生の教えである「独立自尊」の精神を体現できる子どもを求めています。
- 自ら考え、行動できる子
- 友だちと協力し、優しく接することができる子
- 何事にも興味を持ち、目を輝かせて取り組む子
- そして、それを支える確かな家庭の教育方針が不可欠です
合格への道は決して平坦ではありませんが、まずは募集要項を手に取り、学校の歴史と理念を深く理解することから始めてください。正しい準備と家庭の協力があれば、可能性は十分に広がります。
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