こんにちは。お受験ラボ編集部です。
15年以上にわたり、小学校受験の現場で多くの親子の追い込み期を見守ってきました。
夏以降、本番まで残り数ヶ月となるこの時期。模試の結果に一喜一憂しながら、
「このままで本当に間に合うのか」
「志望校を変えたほうがいいのか」
「塾を増やしたほうがいいのか」など、不安が募っていませんか。
そんなあなたに伝えたいのは、追い込み期だからといって、ただ闇雲に学習量を増やすのではなく、
一度立ち止まって受験方針を見直すことが合格への近道だということです。
この記事では、私の経験をもとに、追い込み期に親が必ずチェックすべき4つのポイントを整理しました。
今からでも十分に方針の立て直しは可能です。ぜひ参考にしてください。
チェックポイント1:志望校と子どもの現状にズレはないか
まず最初に見直してほしいのは、テキストや模試の結果ではなく、「志望校リスト」です。
具体的には、
- 第一志望校を憧れだけで選んでいないか
- 併願校に現実的な合格ラインが含まれているか
よくあるのは、第一志望校だけが非常にレベルの高いブランド校で、そこから急激にレベルを下げた併願校を設定しているパターンです。
この場合、子どもは常に難しい問題に直面し続け、自信を失いやすくなります。
見直す際のポイントは、
- 模試の偏差値や教室の判定から見た現実的な合格ライン
- 校風と子どもの性格の相性
- 通学距離と子どもの体力のバランス
追い込み期の方針修正は、第一志望を諦めることではありません。
第一志望はそのままに、第二・第三志望を現実的かつ魅力的な学校で固め直すことが大切です。
「どこか一つにご縁があればいい」という視点を取り戻すことで、家庭の不安定な空気が一気に落ち着きます。
チェックポイント2:子どもの体力を考慮した1日のスケジュールか
追い込み期になると、「少しでも不安だから」と学習量を増やしがちですが、ここで一度、家庭のホワイトボードや紙に1日のタイムスケジュールを書き出してみてください。
起床時間、幼稚園や保育園の時間、帰宅後の自由時間、お稽古や塾の時間、家庭学習の時間、就寝時間などを細かく確認します。
特に、
- 夕方以降に学習時間を詰め込みすぎていないか
- 就寝時間が遅くなっていないか
- 週に1日も完全な休息日がない状態になっていないか
をチェックしましょう。
追い込み期で伸びる子は、意外にも「よく寝てよく遊んでいる」ことが多いのです。
睡眠や遊びの時間が削られると、集中力が続かずイライラしやすくなり、ミスも増え、学習効率が落ちてしまいます。
学習時間を増やす前に、1日の総学習時間を見直し、週に1日はペーパー学習を休む日を設けるなど、引き算の調整を心がけてください。これが最後の伸びにつながります。
チェックポイント3:勉強がペーパーだけに偏っていないか
追い込み期に最も起こりやすいのが、ペーパー(図形・数・推理)に全力を注ぐあまり、行動観察、運動、制作、生活習慣、面接で話す経験が置き去りになるケースです。
特に女子校や共学校、国立小学校は「バランス」を非常に重視します。
最後の数ヶ月で意識したいバランスの目安は、
- ペーパー:6
- 行動観察・運動・制作:3
- 面接・日常の会話:1
です。
難しいことを増やす必要はありません。例えば、
- 行動観察は外遊びで十分練習になる
- 運動は公園の遊具や鬼ごっこで鍛えられる
- 制作は折り紙やちぎり絵、はさみを使った工作で家庭でもできる
- 面接は普段の会話や親子での練習ごっこで整う
ペーパーだけを追いかけると、「模試の点数は上がったのに本番で落ちる」というパターンに陥りやすくなります。
追い込み期こそ、「生活全体が試験に直結している」と意識し、バランスを整えてあげてください。
チェックポイント4:家庭の空気が合否のプレッシャーに支配されていないか
最後に、最も重要なポイントです。
追い込み期の家庭には、どうしても次のような言葉や空気が漂いがちです。
- 「その解き方じゃダメでしょ」
- 「なんで前にやった問題をまた間違えるの」
- 「ちゃんとしなさい」
親御さんからすれば「つい」出てしまう言葉かもしれませんが、子どもにとっては、
- 失敗したら怒られる
- 間違えるのが怖い
- やる前から不安になる
という心理状態を生み出してしまいます。
本番で力を発揮できる子は、「失敗しても大丈夫」と心から思えている子です。
追い込み期に家庭で意識したいのは、
- 結果よりも子どもの姿勢をほめる(例:「最後まで座って頑張れたね」「自分からやり直しを始めたね」)
- 間違いをチャンスとして扱う(例:「ここはチャンス問題だね」と軽く伝える)
- 子どもの前で合否の話題を繰り返さない
親の言葉が変わるだけで、同じ問題集でも子どもの受け取り方や効果が大きく変わります。
方針の立て直しは「すべてやり直す」ことではない
方針の立て直しというと、「今までの努力が無駄だった」と感じるかもしれません。
しかし本来の立て直しは、
- 増やしすぎた学習内容を削る
- ズレてきた志望校の軸を微調整する
- 乱れた生活リズムを整え直す
- 尖ってしまった言葉を柔らかく戻す
こうした細かな調整の積み重ねです。
迷ったときの合言葉は、「この調整で子どもの表情が明るくなるかどうか」。
表情が明るくなれば、それはほぼ間違いなく正しい立て直しと言えます。
おすすめ参考図書【方針を立て直したい親御さんへ】
ここからは、「追い込み期に読むと受験方針の軸が整う本」をテーマに、参考図書を紹介します。すべてAmazonの検索ページへのリンクで、アフィリエイトタグ「jukens6-22」を付けています。
1. 受験全体の方針を整え直すための本
『小学校受験 合格までのロードマップ』
年間スケジュールや追い込み期の過ごし方が整理された実用書。今の位置と優先すべきことを俯瞰したい方におすすめです。
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『名門小学校合格への戦略と心構え』
志望校選びや併願パターン、追い込み期の戦略など、方針の再設計に役立つ内容がまとまっています。
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2. 親のメンタルと家庭の空気を整える本
『どんなに失敗しても「ま、いっか」と思える本』
完璧主義で自分を追い込みがちな親御さんに。力が抜けることで、子どもへの言葉も自然と優しくなります。
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『子どもが伸びる親の関わり方』
叱り方やほめ方、声かけの実例が豊富で、追い込み期のコミュニケーションを見直すのに最適です。
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3. 非認知能力とバランスの良い受験の考え方
『学力の経済学』
非認知能力の重要性をデータから理解できる一冊。ペーパー一辺倒になりかけた方針を良い意味で軌道修正できます。
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『非認知能力を育てる親子の習慣』
日常生活の中でどう力を伸ばすか、今日から実践しやすいヒントが多く載っています。
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4. 面接・行動観察・家庭の“見られ方”を整える本
『小学校受験 親子面接の合格マニュアル』
追い込み期に面接対策を見直す際に役立つ定番書。想定質問と回答の考え方が整理しやすくなります。
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『小学校受験 行動観察・生活習慣の伸ばし方』
行動観察で何を見られているか、家庭でどんな準備ができるかを知りたい方におすすめです。
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追い込み期はどうしても不安が大きくなりがちです。
しかし、そこで受験方針を整え直せた家庭ほど、本番でその子らしさをしっかり発揮しています。
焦って何かを足す前に、いったん立ち止まり、今回ご紹介した4つのチェックポイントを見直してみてください。
それだけで、親子の表情が柔らかくなり、その空気の変化が結果的に最大の追い風となるでしょう。

