小学校受験を経験するご家庭にとって、最も避けたい言葉のひとつが「全落ち(全滅)」です。何年もかけて数百万円を費やし、親子で懸命に準備しても、志望校すべてに合格できない家庭は毎年一定数あります。
「もし全落ちしたら、子どもにどう伝えればいいのか」「公立小学校に進んだら、子どもが浮いてしまわないか」など、不安に押しつぶされそうになる親御さんも多いでしょう。そうした焦りから、直前期に子どもを追い詰めてしまうケースも見受けられます。
この記事では、タブー視されがちな「全落ちの現実」とその後の心構え、そして公立小学校からのリベンジ戦略について、私の経験をもとに冷静かつ前向きな視点でお伝えします。
1. 「全落ち」は決して珍しいことではない
まず理解していただきたいのは、小学校受験の人気校では倍率が5倍から10倍に達することが普通だということです。単純に考えれば、5人に4人は不合格になる計算です。どんなに優秀なお子さんでも、当日の体調や学校との相性、運の要素で結果が左右されることがあります。
ですから、「全落ちは恥ずかしいこと」ではありません。むしろ「高い目標に挑戦した証」と捉えるべきです。
2. まだ可能性は残っている「二次募集」というチャンス
11月の本試験で合格が得られなかった場合でも、まだ望みはあります。いわゆる「二次募集(定員割れや辞退者補充)」です。
- 時期: 11月中旬から12月、または年明けの1月から2月にかけて行われます。
- 対象校: 定員に達しなかった学校や、国立小学校合格者の辞退が出た学校が該当します。
- 注意点: 募集人数はごくわずかで、情報は学校の公式ホームページで突然発表されることが多いです。
どうしても私立の環境に入りたい場合は、情報収集のアンテナを高く張っておく必要があります。しかし、ここでもご縁がなければ、潔く公立小学校への進学を決断することが大切です。
3. 子どもに伝える「不合格」の言葉選び
親として最も気をつけたいのが、子どもへの伝え方です。親が涙を見せたり、「残念だったね」と落ち込んだ表情をすると、子どもは「自分はダメな子だ」「親を悲しませてしまった」と深く傷ついてしまいます。
【伝え方のポイント】 「小学校からは『お家から近い、この公立小学校に来てください』というお手紙が届いたよ。ここには〇〇くんのお友達もたくさんいるし、きっと楽しいよ!」と伝えましょう。
嘘をつく必要はありませんが、事実を前向きに言い換えることが大切です。「抽選で外れた」「席が足りなかった」というニュアンスを伝え、「あなたの能力が不足していたわけではない」ことを強調してください。
4. 公立小学校で「浮く」ことはない?むしろトップを走る可能性も
「お受験に失敗して公立小に進むと、いじめられたり浮いてしまうのでは」と心配される方がいますが、実際には逆のケースが多いです。
受験勉強で培った「座って話を聞く姿勢」「文字の読み書き」「計算力」は、公立小学校の1年生の中で際立っています。担任の先生からは「しっかりしたリーダー的存在」として評価され、勉強面でもトップを走ることが可能です。
この成功体験が自己肯定感を育み、その後の中学受験での難関校合格(リベンジ)
5. まとめ:小学校受験の努力は「貯金」として残る
小学校受験に費やした時間と努力は、たとえ合格という形での「利子」がつかなかったとしても、元本である基礎学力や非認知能力としてお子さまの中に確実に残っています。
- 毎日机に向かう習慣が身についた。
- 季節の行事やマナーを学んだ。
- 親子で一つの目標に向かって努力した。
これらは公立小学校に進んでも消えることはありません。「6年後の選択肢を広げるための、少し早めの準備体操だった」と前向きに捉えられれば、公立小学校へのランドセル姿も誇らしく感じられるはずです。


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