はじめに:「合格」の先にある入学準備の現実
小学校受験に合格した瞬間、ほっと胸をなでおろす親御さんは多いでしょう。しかし、合格はスタート地点に過ぎません。実際には「合格から入学式までの約3ヶ月間」が、準備の大切な期間として待っています。
この期間に必要な準備は多岐にわたり、費用も決して小さくありません。この記事では、何をいつ準備すべきか、公立と私立での違い、そして費用を抑えるポイントについて詳しくお伝えします。あなたの入学準備がスムーズに進むよう、具体的なタイムラインとチェックリストもご用意しました。
公立と私立の違いを知る:入学準備にかかる費用の実態
公立小学校の入学準備費用(全国平均)
項目 金額 備考 ランドセル 50,000~60,000円 最も費用がかかる品目 制服(あれば) 30,000~50,000円 地域によって異なる 上履き・赤白帽・体操着 5,000~10,000円 学校指定 文房具・筆箱・鉛筆セット 5,000~10,000円 手提げバッグ・体操着袋・上履き袋 3,000~5,000円 手作りで代用可能 防災頭巾・防災頭巾カバー 3,000~4,000円 学校指定あり 学習机(オプション) 30,000~80,000円 購入しない家庭も多い 合計(機械を除く) 約80,000~100,000円
ポイント:公立小学校は授業料が無料なため、初期費用は比較的抑えられます。制服がない学校もあり、その場合は入学式用のフォーマル服を自分で用意する必要がある点に注意しましょう。
私立小学校の入学準備費用(首都圏平均)
項目 金額 備考 入学金 200,000~300,000円 返金不可、1回のみ 制服一式 80,000~150,000円 上下・靴・カバンなど 指定ランドセル or 指定バッグ 40,000~80,000円 学校指定あり 上履き・体操着・その他学用品 30,000~50,000円 全て学校指定 教科書・教材費 20,000~40,000円 施設費 or 設備費 50,000~100,000円 学校による PTA会費(初期) 10,000~20,000円 合計 約450,000~750,000円
ポイント:私立小学校では入学金が大きな負担となります。また、制服やランドセルなどはほぼ全て学校指定で自由度が低いですが、6年間使えるものが多く、兄弟での使い回しが可能な場合もあります。
合格から入学式までの準備スケジュール
11月~12月(合格発表直後)
やること:
- 学校からの入学案内をしっかり確認する
- 入学説明会の日程を把握する
- ランドセルの購入(私立)または検討開始(公立)
- 入学式の服装計画を立てる
ポイント:人気のランドセルや指定バッグは早期に売り切れることが多いため、12月中の購入をおすすめします。
1月~2月(入学説明会の時期)
やること:
- 入学説明会に必ず参加する
- 入学準備物リストを受け取る
- 制服の採寸(私立の場合)
- 学用品の購入計画を立てる
説明会で確認すべきポイント:
- 学用品の学校指定の有無
- 名前の書き方(フルネームか名前のみか)
- 制服のサイズ表
- 入学式当日の持ち物リスト
- 4月から必要になるもの
2月~3月(本格的な準備期間)
やること:
- 学用品の一括購入
- 制服の仕立てと受け取り
- 全ての持ち物に名前を記入
- 入学式の服装準備(親子ともに)
- 通学ルートの確認
- 生活習慣の見直しと準備
具体的な準備物の例:
基本セット
- 上履き(白が指定されることが多い)
- 赤白帽子
- 体操着
- 筆箱(学校指定の場合あり)
- 鉛筆(BまたはHB、指定本数あり)
- 消しゴム
- 定規
- 三角定規
- コンパス(高学年で必要)
バッグ・カバー類
- ランドセルまたは指定バッグ
- 手提げバッグ(B4サイズ)
- 体操着袋
- 上履き袋
- 給食着袋(学校による)
その他
- 防災頭巾・防災頭巾カバー
- 雑巾(2枚、学校指定の場合あり)
- ハンカチ・ティッシュ
- 鍵盤ハーモニカ(学校指定の場合)
3月末~4月初旬(入学式直前の最終確認)
やること:
- 入学式の服装の最終チェック
- 持ち物が全て揃っているか確認
- 子どもの心理的な準備を進める
- 通学ルートの最終確認
詳細チェックリスト:子どもと親の準備物一覧
子ども用の準備物
項目 費用 学校指定 備考 ランドセル(私立は指定) 40,000~80,000円 指定 制服一式(私立) 80,000~150,000円 指定 上下・靴など 上履き 2,000~3,000円 色指定あり(白が多い) 赤白帽子 500~1,000円 指定 体操着 4,000~6,000円 指定 筆箱+鉛筆セット 2,000~3,000円 指定あり(HBまたはB) 定規・三角定規・コンパス 1,000~2,000円 指定あり 消しゴム 300~500円 指定あり 手提げバッグ 2,000~3,000円 サイズ指定あり(B4サイズ) 体操着袋・上履き袋 2,000~4,000円 サイズ指定あり 手作り代用可 給食着・給食帽 2,000~3,000円 学校指定あり 防災頭巾・カバー 3,000~4,000円 指定 雑巾・タオル 1,000~1,500円 色指定あり 2枚
親用の準備物
項目 費用 備考 入学式用スーツ or フォーマル 30,000~80,000円 ママ・パパそれぞれ 靴 5,000~15,000円 黒または紺が無難 バッグ 5,000~20,000円 サブバッグもあると便利 携帯スリッパ 1,000~3,000円 学校内を歩く際に必要
費用を抑えるための実践的なコツ
コツ1:学校指定品以外は中古やお下がりで賢く節約
全て新品で揃えようとすると費用が膨らみます。以下のアイテムは中古やお下がりで十分対応可能です。
- 体操着:兄弟のお下がりやフリマアプリの活用
- 手提げバッグ・袋類:学校のバザーやフリマアプリで手作り品を購入
- 制服(兄弟がいる場合):1年生用を購入し、2年生で譲る
節約効果:5,000~15,000円程度
コツ2:入学式の服装は卒園式のものを活用
入学式用に新たに服を買うより、卒園式で着たスーツを使うか、フリマアプリで「入学式用」として出品されているものを探すのがおすすめです。
節約効果:20,000~40,000円程度
コツ3:学習机は購入せずリビング学習を選択
最近はリビングのダイニングテーブルで学習する家庭が増えています。学習机を購入しなければ、その分大きく費用を抑えられます。
節約効果:30,000~80,000円程度
コツ4:入学祝いを上手に活用する
祖父母からの入学祝いはランドセルや学習机の購入資金に充てましょう。金額や用途を明確に伝えることで、祖父母も贈りやすくなります。
学校生活に向けた心理的準備も忘れずに
入学準備は物だけでなく、子どもの心の準備も同じくらい大切です。新しい環境に慣れるためのポイントをお伝えします。
①時間を意識する習慣をつける
小学校は時間で区切られた生活が基本です。
- 朝7時に家を出る
- 8時30分に授業開始
- 12時に給食
- 15時に下校
入学前に時計の読み方を練習しておくと、学校生活がスムーズになります。
②自分の名前を読み書きできるようにする
ロッカーや靴箱、席には名前が書いてあります。自分の名前が読めると安心感が増し、不安が軽減されます。
③通学ルートを一緒に確認する
家から学校までの道を何度か一緒に歩きましょう。
- 信号の渡り方
- 危険な場所
- 友達と会う場所
これらを確認しておくことで、子どもの不安を減らせます。
④小学校での1日の流れを理解させる
入学説明会で配布される資料には「朝礼→授業→給食→授業→下校」といった1日の流れが書かれています。事前に子どもに説明しておくと、初日の緊張が和らぎます。
⑤トイレの使い方を事前に確認する
幼稚園や保育園と小学校のトイレは異なります。特に「大便の後の流し方」や「トイレットペーパーの使い方」など、学校のルールを教えておくと安心です。
よくある準備の失敗とその対策
失敗1:説明会前に勝手に学用品を購入してしまう
説明会前に独自に学用品を揃えてしまうと、学校指定の筆箱や色鉛筆などと合わず、無駄な買い物になることがあります。
改善策:入学説明会の資料を受け取ってから購入を始めましょう。
失敗2:全て新品で揃えようとして費用が膨らむ
初めての小学校生活で全て新品にしたい気持ちは理解できますが、年間を通じて追加購入が必要になることも多いです。
改善策:必須アイテムと後からでもよいアイテムを分けて、必要に応じて揃えていく柔軟さを持ちましょう。
失敗3:名前記入を後回しにして入学直前に慌てる
名前記入は想像以上に時間がかかります。入学式当日に名前が書かれていないと困ります。
改善策:2月末までに全ての名前記入を終わらせるスケジュールを立てましょう。
入学後にかかる追加費用も把握しておく
入学準備の初期費用が終わっても、学校生活では追加の費用が発生します。
費用項目 タイミング 金額 教材費(習字セット・絵の具セット) 4月~5月 10,000~20,000円 鍵盤ハーモニカ 4月~5月 5,000~8,000円 修学旅行積立金 年間 月1,000~2,000円 学用品の追加購入 随時 月2,000~3,000円 給食費 毎月 月4,000~5,000円 学校PTA会費 毎月 月500~1,000円
目安:年間を通じて月8,000~15,000円程度の追加費用がかかると見込んでおきましょう。
まとめ:入学準備は受験と同じくらい大切なステップ
小学校受験の合格を勝ち取ったあなたは、すでに大きな一歩を踏み出しています。しかし、合格後の準備も同じくらい丁寧に進めることが、子どもが新しい環境にスムーズに適応するために欠かせません。
何をいつ準備するかを計画的に考え、完璧を目指しすぎず柔軟に対応することが、費用面でも心理面でも成功のポイントです。入学後も追加購入が必要になることを念頭に置き、親としての工夫と判断力を活かしてください。
また、物の準備だけでなく、子どもの心理的なサポートも忘れずに。新しい先生や友達との出会いは、子どもにとって大きな転機です。心の準備をしっかり整えることで、小学1年生からの学校生活がより楽しく、充実したものになるでしょう。


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