「これからの時代、英語は必須だからインターナショナルスクールに入れたい」
「でも、日本語力が弱くなったらどうしよう……」
グローバル化が進む中で、伝統的な日本の私立小学校ではなく、インターナショナルスクールを選ぶ家庭が増えています。しかし、インター進学は日本の教育システムから外れることを意味し、いわば“片道切符”のようなリスクも伴います。
この記事では、インターナショナルスクールの特徴やメリット、注意すべき「セミリンガル」の問題、そして大学進学における出口戦略について詳しく解説します。
1. インターナショナルスクールの主な2タイプとは？
インターナショナルスクールと一口に言っても、大きく分けて2種類あります。
- 老舗インターナショナルスクール（ASIJ、清泉、聖心など）：歴史があり、国際バカロレア（IB）などの認定を受けています。外国籍の子どもや帰国子女が多く、入学には親子ともに高い英語力が求められます。
- 新設インター・英語特化型小学校：近年増えている日本人向けのインターで、日本の学習指導要領には準拠せず、英語イマージョン教育を行います。英語力がまだなくても入りやすいのが特徴です。
2. インターナショナルスクールのメリット：英語脳と探究心が育つ環境
最大の魅力は、圧倒的な英語環境にあります。
- バイリンガルの育成：小学校6年間で、ネイティブに近い発音や英語での思考力が身につきます。
- 探究学習の実践：日本の「正解を覚える」教育とは異なり、「なぜ？」を深掘りするプロジェクト型授業が中心です。自己主張できる強い個性が育ちます。
3. デメリット：日本語力とアイデンティティの課題
光があれば影もあります。以下のリスクを親がどうサポートするかが重要です。
① 「セミリンガル（ダブルリミテッド）」のリスク
英語も日本語も日常会話はできるものの、「深い思考や抽象的な概念をどちらの言語でも扱えない」状態になる可能性があります。家庭での日本語サポート（漢字学習や読書）を怠ると、日本語のニュースが理解できず、敬語も使えない大人になってしまう恐れがあります。
② 日本の大学受験が難しくなる
日本の高校卒業資格が得られないインターの場合、日本の大学を受験するには「高卒認定試験」を受ける必要があります（一条校として認められている学校を除く）。基本的には海外大学や日本の大学の国際教養学部（AO入試）を目指すルートに限られます。東大などの難関校を目指す場合、コース変更は非常に難しいのが現実です。
③ 学費の負担が大きい
日本の私立小学校の学費が年間約100万円前後であるのに対し、インターは年間200万～300万円が相場です。さらに寄付金やサマースクールの費用もかかるため、経済的な負担はかなり大きくなります。
4. 日本の私立小学校でも英語教育は充実している？
近年、日本の私立小学校でも英語教育に力を入れる学校が増えています。
- LCA国際小学校（神奈川）：一条校でありながら担任が外国人で、英語イマージョン教育を実施しています。
- 啓明学園、玉川学園、さとえ学園など：英語の授業数が多く、国際教育に積極的です。
日本人としてのアイデンティティ（国語力や道徳）を土台にしつつ英語力を伸ばしたいなら、こうした国際系私立小学校がバランスの良い選択肢と言えるでしょう。
5. 結論：家庭の言語戦略が未来を決める
インターナショナルスクールを選ぶなら、親の覚悟が不可欠です。「家では日本語だけを話す」「週末は日本の補習校や塾に通わせる」など、徹底した日本語教育の維持がなければ、子どもは日本社会で生きづらさを感じることになります。
- 将来、海外での生活を前提にするなら 👉 インターナショナルスクール
- 日本を拠点にしながら世界とつながってほしいなら 👉 日本の国際系私立小学校
単なる「英語への憧れ」だけで選ぶのではなく、20年後の子どもの「住む場所」と「働く場所」をイメージして決断してください。
次にあなたがすべきこと
- 学費シミュレーション：インターの場合、小中高の12年間で3,000万円以上かかることもあります。為替リスクも含めてしっかり試算しましょう。
- サマースクール体験：多くのインターが夏休みに外部生向けプログラムを開催しています。まずは参加して「校風」と「我が子の適応力」を見極めてみてください。
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