「模試でD判定が出てしまいました……志望校を変えたほうがいいでしょうか?」秋が深まる頃になると、そんな不安を抱えた親御さんからの相談が増えます。
中学受験や大学受験では、模試の判定や偏差値は重要な指標として扱われます。しかし、小学校受験の場合は事情が異なります。私の経験から言うと、小学校受験の模試判定はあくまで参考程度に捉え、話半分で聞くのが賢明です。なぜなら、A判定でも不合格になり、逆にD判定でも合格するケースが珍しくないからです。その背景にはどんな理由があるのでしょうか?
1. ペーパー以外の評価項目が合否を左右する
模試の偏差値は主にペーパーテストの点数をもとに算出されます。しかし、実際の小学校受験ではペーパーの配点は全体の5割から6割程度にとどまる学校が多いのです。
- では、残りの4割は何に使われるのか?それは行動観察、運動、巧緻性、面接、そして願書の内容など、ペーパー以外の評価項目です。これらは模試で数値化しづらいため、判定に反映されにくいのが現実です。
例えば、ペーパーは満点でも態度が悪くて不合格になる(A判定で落ちる)ことや、ペーパーは平均点でも行動観察や面接で高評価を得て合格する(D判定で受かる)ことが日常的に起こっています。これが小学校受験の特徴です。
2. 模試の種類によって判定の意味が変わる
模試にはそれぞれ特徴やクセがあります。
- 統一模試(全統オープンなど)は基礎的な問題が中心で、受験者の母集団も広いため、全体の立ち位置を把握するのに適しています。
- 学校別模試(〇〇小オープンなど)は志望校の過去問に似せて作られているため、より実際の入試に近い判定が得られます。
例えば、統一模試で偏差値50でも、学校別模試で上位20%に入っているなら、その子は志望校に特化した力がついている証拠です。こうした場合は自信を持って臨んで大丈夫です。
3. 模試は判定よりも「弱点発見器」として活用する
模試の判定(A〜E)に一喜一憂するのではなく、設問ごとの正答率をしっかり確認してください。
- 例えば、「図形問題は得意だけれど、お話の記憶問題は苦手」
- 「数量問題の正答率が高いので基礎はしっかりできている」
このように、模試を「あと1ヶ月でどの分野を重点的に補強すればよいかを見つけるツール」として使うことが大切です。偏差値や判定の数字に振り回されて子どもを叱るのは逆効果です。大切なのは、本番で出た問題を解ける力をつけることです。
私たち親は、模試の結果を冷静に受け止め、子どもの弱点を見極めて対策を練ることに注力しましょう。そうすれば、偏差値の数字以上の成果を出せる可能性が高まります。


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