小学校受験の絵画は、絵の上手さを競う試験ではありません。テーマや条件を守れているか、画面を大きく使えているか、人の動きや場面が伝わるか、時間内に仕上げられるか、描いたものを自分の言葉で説明できるか。絵画の考査では、こうした点が見られていると言われます。家庭での練習は、体験したことを絵にすることと、描き終えたあとに話を聞くことの2つが土台になります。
「うちの子は絵が苦手」と不安になる保護者は少なくありません。ただ、絵画の課題で見られるのは、指示を聞く力や生活の経験、最後まで取り組む姿勢など、毎日の暮らしの中で育つ力です。
ここでは、絵画で見られると言われるポイント、出題の形式とよく出るテーマ、家庭での練習のしかた、学校ごとの出題の例を順に取り上げます。
絵画で見られると言われる6つのポイント
| ポイント | 具体的には |
|---|---|
| 指示を守る | 「人を3人描く」「背景も描く」など、テーマと条件を守れているか |
| 画面の使い方 | 人物が小さすぎず、画用紙全体を使えているか |
| 生活の経験 | 場面に合った道具や動作が描けているか(公園ならブランコやすべり台など) |
| 人の表情と動き | 走る・食べる・作るなどの動きや、表情が伝わるか |
| ていねいさ | 線や塗りがていねいか、時間内に仕上がっているか |
| 説明する力 | 何を描いたのか、先生に聞かれて自分の言葉で話せるか |
「だれが・どこで・何をしているか」が一目で伝わる絵を目指しておくと、テーマが変わっても応用しやすくなります。
出題形式と頻出テーマ
| 形式 | 出題の例 |
|---|---|
| テーマ画 | 「お友だちと公園で遊んでいるところ」「家族で食事をしているところ」 |
| 想像画 | 「もし雲に乗れたら」「魔法が使えたら」など、答えのないテーマ |
| お話の絵 | 先生が読んだお話の一場面を描く |
| 条件つきの絵 | 「〇〇が入っている絵を描く」「描きかけの絵の続きを描く」 |
| 絵画と制作の組み合わせ | 作ったものと絵を組み合わせる、制作した物で遊ぶ場面を描く |
| テーマの種類 | 例 |
|---|---|
| 遊び・行事 | 公園、運動会、遠足、お誕生日会、お店屋さんごっこ |
| 家族・生活 | 食事、お手伝い、お風呂、朝の準備 |
| 季節・自然 | 雪遊び、海やプール、どんぐり拾い、お花見 |
| お出かけ | 動物園、水族館、電車やバスに乗っているところ |
家庭での練習法
描く手順の目安
- 主役(自分や家族、友だち)を、画用紙の真ん中あたりに大きめに描く
- 主役が何をしているかがわかるように、道具やまわりの人を描き足す
- 地面や空、天気、季節のものを描いて、場面を仕上げる
- 時間が残ったら、ていねいに色を塗る
この手順は、迷わず描き始めるための目安です。いつも同じ絵にならないよう、テーマに合わせて自由に工夫できるとさらによくなります。
練習のしかた
- 週に1〜2回、1回15〜25分ほど。時間を決めて描く
- 体験したこと(行事、お出かけ、お手伝い)を、その日のうちに描いてみる
- 描き終わったら「これは何をしているところ?」と聞き、説明してもらう
- 親は絵に手を入れず、発想を面白がって聞く
- クーピーやクレヨン、はさみ・のりなど、考査で使う道具に慣れておく
人や動き、背景の描き方のコツは小学校受験の絵の描き方|人物・動き・背景を描くコツとテーマ別の練習、絵が苦手な子の伸ばし方は絵が苦手な子の小学校受験|描けない理由別の声かけと段階別の練習で紹介しています。
学校ごとの出題の例
| 学校 | 絵画・制作の出題(報告されている内容) |
|---|---|
| 慶應義塾幼稚舎 | 「もし◯◯だったら」といった想像の場面を描く課題や、作ったものと絵を組み合わせる課題。描いたものの説明や片付けも大切 |
| 早稲田実業学校初等部 | 絵画はほぼ毎年出題。人のいる場面を描く課題が多い(過去には、風鈴・ほうき・雲・手袋のいずれかがある絵を描く課題) |
| 筑波大学附属小学校 | 2次検査で、巧緻性を見る制作・絵画の課題 |
学校が公式に示している考査の考え方
学校の公式サイトや募集要項では、絵画の採点基準そのものは公表されていません。ただ、考査全体の考え方は示されています。
- 慶應義塾幼稚舎:入学試験は「様々な活動を通じて志願者のありのままの姿を見るもの」で、特別な準備は必要ないと案内しています。
- 桐朋学園小学校:2027年度の募集要項で、考査方法は「言語・作業・行動など総合的なもの」としています。
上手な絵を描かせる訓練よりも、ふだんの体験を自分なりに表現し、言葉で伝えられることを大事にしたほうが、こうした方針にも沿いやすいと考えられます。
慶應義塾幼稚舎と早稲田実業の絵画・制作の対策は慶應義塾幼稚舎・早稲田実業の絵画・制作対策|出題の特徴と家庭での練習にまとめています。
描き終えたあとの声かけ
絵画の力は、描いたあとの親子の会話で伸びていきます。評価するより、子どもが描いたものに興味をもって聞く姿勢がポイントです。
伸びにつながりやすい声かけ
- 「これはだれ?何をしているところ?」と、場面を説明してもらう
- 「この人、うれしそうな顔をしているね」と、描けている部分を具体的に伝える
- 「このあと、どうなったの?」と、お話をふくらませる
避けたい声かけ
- 「もっと大きく描きなさい」「ここは青でしょう」と、直す点ばかりを指摘する
- 親が見本を描いて、そのとおりに描かせる
- ほかの子の絵やお手本と比べる
直したい点があるときは、次に描く前に「今日は人を大きく描いてみようか」と、目標を1つだけ伝えるくらいがちょうどよいでしょう。
よくあるNG
- 人物が小さく、画面の多くが空白のまま
- テーマや条件(人数・背景など)を守っていない
- 時間内に終わらない
- 親が手を入れた「きれいな絵」を覚えて、いつも同じ絵を描く
よくある質問
Q. 絵が苦手な子でも大丈夫ですか?
大丈夫です。上手さより、テーマに合った場面を、自分なりに最後まで描けるかが大切です。体験したことを話しながら描くと、少しずつ描けるものが増えていきます。
Q. 絵画教室には通ったほうがいいですか?
描き方の手順や時間内に仕上げることが苦手な場合は、教室が役立つことがあります。必要かどうかの見極め方は小学校受験で体操・絵画・制作教室は必要?考査内容の確かめ方と通うべき子の見分け方・上手な使い方で詳しく取り上げています。
Q. 練習は何歳ごろから始めればいいですか?
特に決まりはありません。年中のうちは自由に描く楽しさを優先し、年長の春ごろからテーマや時間を決めた練習を少しずつ増やす家庭が多いようです。描くこと自体を嫌いにさせないことが、いちばんの準備になります。
Q. 色塗りはどこまでていねいにすればいいですか?
時間内に場面を描き切ることが先で、塗りはそのあとです。全部をきれいに塗ろうとして時間切れになるより、主役の人物や大事な物をしっかり塗れていれば十分と考えてよいでしょう。


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