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絵画試験の対策|色彩感覚・構成力・表現力【2027年度版】

絵画試験の対策|色彩感覚・構成力・表現力【2027年度版】1

お受験ラボ編集部です。今回は、小学校受験における「絵画試験」について、詳しく解説しました。多くの親が「絵が上手い子が合格する」と思い込みますが、実際には「観察力・想像力・表現力・指示理解力」といった多面的な能力が評価されます。本記事では、何が評価されているのか、どう対策すべきかを、具体的なトレーニング方法と共に紹介します。

目次

はじめに:「上手い絵」ではなく「その子らしい絵」が合格

小学校受験の絵画試験で、多くの親が誤解していることがあります。それは「上手な絵を描く子が合格する」という思い込みです。

実際には、学校が見ているのは以下の3つです:

①観察力:細かい部分に気づけるか

②想像力:テーマをどう解釈し、表現するか

③表現力:自分の考えを絵で伝えられるか

つまり、「技術的な上手さ」より「その子の個性と考え方」が評価されるのです。


絵画試験で評価される「5つの能力」

①観察力(Observation)

何が評価されるか:

  • 日常生活で見たものをどれだけ正確に覚えているか
  • 動物や人物の特徴をとらえられるか
  • 季節や時間帯による色の変化に気づけるか

例:

  • 「家族で過ごした時間」を描く際、「誰がどこにいたか」「何をしていたか」という細部が描けるか

②想像力(Imagination)

何が評価されるか:

  • テーマが与えられた時、自分なりのストーリーを作れるか
  • 複数の選択肢の中から、自分の経験に最も合ったテーマを選べるか
  • 「もしも」という仮定を創作できるか

例:

  • 「食べたい食べ物」というテーマで、「単に好きな食べ物を描く」のではなく「いつ、誰と、どこで食べたいのか」というストーリーを描く

③表現力(Expression)

何が評価されるか:

  • 人物や動物の「動き・感情」を表現できるか
  • 風景の「奥行き・広がり」を表現できるか
  • 色を使った「雰囲気づくり」ができるか

例:

  • 家族が「笑顔」「遊んでいる様子」「団らんしている感じ」を絵で伝えられるか

④指示理解力(Instruction Understanding)

何が評価されるか:

  • 試験官の口頭での指示を正確に聞き取れるか
  • 「この部分は赤で塗りなさい」という指示に従えるか
  • 「中央に大きく描く」という空間指示に従えるか

例:

  • 「右上に太陽を描く」という指示を正確に理解し、実行できるか

⑤時間管理能力(Time Management)

何が評価されるか:

  • 制限時間内に、完成した作品を提出できるか
  • 時間の中で、優先順位をつけて描けるか(最も大切な部分から描くなど)

絵画試験の出題形式と対策

形式1:「テーマ指定型」(最も一般的)

出題例:

  • 「楽しかった思い出」
  • 「好きな食べ物」
  • 「我が家の1日」
  • 「秋を見つけた」
  • 「家族で遊ぶ様子」

評価ポイント:

  • テーマを正確に理解しているか
  • 子どもの実体験や観察が反映されているか
  • 複数の要素(人物・背景・色)がバランスよく描かれているか

対策: 毎週1回、「自分の経験に基づいた絵」を描く練習を実施。「なぜこの色を選んだのか」「どんな気持ちの時を描いたのか」を子どもに説明させる習慣をつける。


形式2:「条件指定型」(難関校で増加)

出題例:

  • 「中央に自分を、左に家族、右に友達を描く」
  • 「手前に花、奥に建物がある風景を描く」
  • 「赤色を多く使って、嬉しい気持ちを表現する」

評価ポイント:

  • 空間認識能力(奥行き・構成力)
  • 指示への正確な理解と実行
  • 複数の条件を同時に満たしているか

対策:

  • 空間認識のトレーニング:「手前・奥」「左・右・中央」という位置概念を意識した描画
  • 複数の指示を聞き、それを同時に実行する訓練

形式3:「ストーリーテリング型」(物語の絵画化)

出題例:

  • 先生が読み聞かせたお話を聞いて、その場面を描く
  • 「昨日読んだ本の一場面を描く」

評価ポイント:

  • お話の内容を正確に理解・記憶しているか
  • その場面の「動き・感情・雰囲気」を表現できるか
  • 登場人物の特徴を描き分けられるか

対策: 毎日の「読み聞かせ後の描画」習慣。親が読んだお話について「どんな場面が印象的だった?」と聞き、その場面を描かせる。


色彩感覚の養い方

基本:「色の選び方」を意識させる

親の声かけ例:

  • 「なぜこの色を選んだ?」
  • 「どんな気持ちの時は、どんな色が使いたくなる?」
  • 「太陽は黄色だけど、朝日と夕日で色を変えてみたら?」

①暖色 vs 冷色

暖色(あたたかい色):

  • 赤・オレンジ・黄色
  • 使い方:「嬉しい」「楽しい」「あたたかい」という感情や風景

冷色(ひんやりした色):

  • 青・紫・水色
  • 使い方:「悲しい」「落ち着いた」「涼しい」という感情や風景

トレーニング: 毎週、「暖色を多く使った絵」「冷色を多く使った絵」を交互に描く。どの色がどんな感情を表現するのか、体験させる。


②明度(明るさ)と彩度(鮮やかさ)

明度の工夫:

  • 白を混ぜて「淡い色」を作る
  • 黒を混ぜて「深い色」を作る
  • 時間帯によって色を変える(朝・昼・夜で色を変えるなど)

彩度の工夫:

  • グラデーション(同じ色の濃淡を使う)
  • コントラスト(濃い色と薄い色を隣同士に置く)

トレーニング: 色鉛筆やパステルで「グラデーション」を練習。同じ色でも「濃さ」を変えることで、空間の奥行きを表現できることを体験させる。


③配色バランス

効果的な配色:

  • 3色配色:「メイン色(全体の50%)」「サブ色(35%)」「アクセント色(15%)」
  • 色の統一感:同じ色族(例えば、青系)で統一する

トレーニング: 雑誌や絵本の「色の配置」を観察させる。「この絵が素敵に見えるのは、なぜ?」と問いかけ、色使いの重要性を気づかせる。


構成力・構図の養い方

①人物を中心に配置する

初心者レベル:

  • 人物(自分や家族)を画面の中央に、大きく描く
  • 背景は簡単に

発展レベル:

  • 人物を左右どちらかに配置して、バランスを取る
  • 複数の人物を、場面に応じて配置

②前景・中景・背景の使い分け

基本:

  • 前景:手前の大きな要素(例:花、友達)
  • 中景:中間にある要素(例:自分、テーブル)
  • 背景:奥にある要素(例:建物、木、山)

トレーニング: 「3階建ての家の絵」を描かせるなど、明確に「手前・中央・奥」を意識した描画練習。


③中央から外側へのフロー

効果的な配置:

  • 最も重要な要素を中央に大きく
  • 関連する要素をその周囲に
  • 背景は薄く、控えめに

よくある出題テーマ20個

家族・身近な人関連

  1. 「楽しかった家族での思い出」
  2. 「我が家の朝ごはん」
  3. 「家族で遊ぶ様子」
  4. 「お父さん・お母さんの得意なこと」
  5. 「祖父母と過ごした時間」

食べ物関連

  1. 「好きな食べ物」
  2. 「今日の夕ご飯に食べたいもの」
  3. 「おいしく食べている友達」
  4. 「ピクニックでのお弁当」

季節・行事関連

  1. 「春を見つけた」
  2. 「夏の思い出」
  3. 「秋の紅葉狩り」
  4. 「冬の雪遊び」
  5. 「お正月」「七夕」「クリスマス」

学校・保育園関連

  1. 「幼稚園(保育園)での得意な遊び」
  2. 「お友達と楽しく遊んでいる様子」
  3. 「運動会でがんばる自分」
  4. 「発表会での姿」

その他

  1. 「動物とのふれあい」
  2. 「自分が大きくなったら」

学校別・絵画試験の重要度と傾向

学校重要度よく出るテーマ特徴慶應義塾幼稚舎⭐⭐⭐家族・身近な人人物表現を重視早稲田実業初等部⭐⭐⭐⭐テーマ指定型想像力・表現力重視東洋英和女学院⭐⭐⭐四季・季節行事色彩感覚重視筑波大附属小学校⭐⭐⭐⭐ストーリーテリング複雑な構成力要求成蹊小学校⭐⭐⭐家族・食べ物バランス重視立教小学校⭐⭐基本的テーマ基本的な表現で十分

自宅でできるトレーニング20パターン

Aグループ:観察力トレーニング(毎日)

  1. 身近な物の観察描き:家族の顔を「毎日」描く。細かい特徴(目の大きさ、髪の毛の流れなど)を意識
  2. 窓から見える風景:毎日同じ時間に、同じ場所から見える景色を描く。時間帯で色がどう変わるか観察
  3. 動きのある人物描き:遊んでいる友達、走っている子、寝ている姿勢など、異なるポーズを描く
  4. 動物の特徴観察:図鑑を見ながら、動物の特徴(足の数、耳の形、毛の質感)を描く
  5. 季節の風景変化:同じ場所を「春・夏・秋・冬」で描き分ける

Bグループ:想像力トレーニング(週2~3回)

  1. 「もしも」ストーリー描き:「もしも自分が動物だったら」「もしも空が飛べたら」というテーマで描く
  2. 音や感覚から絵へ:親が「ザザザザ」という音を出し、子どもがその音から想像する絵を描く
  3. 感情から色へ:「嬉しいときの色」「悲しいときの色」を描く
  4. 昨日の思い出を描く:「昨日何が楽しかった?」と聞いて、その場面を描かせる
  5. 物語の続きを描く:読み聞かせたお話の「続きのストーリー」を描く

Cグループ:表現力トレーニング(週2~3回)

  1. 感情表現:同じ人物を「怒っている顔」「悲しい顔」「笑顔」で描き分ける
  2. 動きの表現:「歩いている」「走っている」「寝ている」などの動きを表現する
  3. 空間の奥行き表現:「手前に大きな花、奥に小さな建物」という奥行きを意識した描画
  4. 色を使った雰囲気づくり:「暖かい日の家族時間」と「寒い日の家族時間」を色使いで表現
  5. グラデーション練習:同じ色で濃淡をつけて、奥行きや質感を表現

Dグループ:指示理解力トレーニング(週1~2回)

  1. 複数指示の実行:「左側に太陽を、右側に月を、中央に自分を描きなさい」という複数条件を守って描く
  2. 色指定画:「空は青、地面は緑」など、色を指定されて描く
  3. サイズ指定:「自分は大きく、友達は小さく描く」という指定を守る
  4. 配置指定:「上半分に屋外、下半分に室内」など、画面を分割して描く

Eグループ:時間管理トレーニング(週1回)

  1. 制限時間内での完成:「10分で完成させる」というタイムアタック。時間管理の意識をつける

よくある失敗パターンと対策

❌ 失敗1:「親が『もっときれいに』と指導してしまう」

親が完成度を重視すると、子どもは「親が満足する絵」を描こうとしてしまい、個性が失われます。

✅ 改善:

  • 「きれいに」より「その子らしさ」を褒める
  • 完成度より「工夫」「発想」「丁寧さ」を褒める

❌ 失敗2:「テンプレート的な絵になってしまう」

同じパターンの絵(いつも同じ構図、同じ色使い)ばかり描いていると、試験では「その子の個性」が見えません。

✅ 改善:

  • 毎週異なるテーマで描く
  • 「いつもと違う色を使ってみたら?」と促す
  • 複数の視点から物を描く練習

❌ 失敗3:「観察なしに、想像だけで描く」

「好きな食べ物」というテーマで、実物を見ずに描くと、リアリティがなく「見たことのない奇妙な形」になることも。

✅ 改善:

  • テーマに関連した「実物」を一度見せる
  • 「どんな色だった?」「どんな形だった?」と聞いて、観察させる

まとめ:「絵画試験」は「その子らしさ」を見る試験

小学校受験の絵画試験は、「上手い絵を描ける子」ではなく、「その子の個性・観察力・想像力・表現力」を見ています。

年中の時点から、毎日の「気軽な描画」を習慣化することで、自然と絵を描く力が育まれます。重要なのは「完成度」ではなく、「その子が何を見て、何を感じ、どう表現したのか」なのです。

親が子どもの「個性的な発想」を褒め、励ましながら、親子で一緒に「描く楽しさ」を共有することが、絵画試験合格への最短経路なのです。

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この記事を書いた人

お受験ラボ編集部です。
私たちは、首都圏の私立小学校受験を中心に、ご家庭の不安や疑問に寄り添いながら情報を届ける教育ライターチームです。

一部の記事には、幼児教育の現場経験が豊富な先生方の監修が入っていますが、
学校や試験内容は毎年大きく変化するため、すべての記事が常に最新の情報であるとは限りません。
その点だけ、あらかじめご理解いただければ幸いです。

最新動向の反映には努めつつ、
「今、保護者が本当に知りたいこと」を軸に、正確で実践的な情報の発信を続けています。

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